概要

 当院では、入院患者およびがん患者(外来通院を含む)を対象に、周術期口腔機能管理を含めた医科歯科連携を推進しています。
 具体的には、入院加療を要する患者さんへの対応として、お口のトラブルで治療が滞ることのないように入院前の歯科受診を推奨しています。とくにがんの患者さんには入院前から『周術期口腔機能管理』を開始し、治療前・治療中・治療後のお口のケアを行うことで、歯性感染症や誤嚥性肺炎、薬剤性・放射線性の重症口内炎を予防することが期待されます。
 また入院中の患者さんへの対応としては、お口のトラブル(歯の痛み、義歯破損など)があった場合、院内の歯科口腔外科にて応急処置を行います。退院後は『かかりつけ歯科医』またはお近くの歯科診療所で治療をお受けいただきます。このほか、オーラルサポートチームによる口腔ケア・口腔機能管理などを行っています。

地区歯科医師会と連携協定を締結しています

 令和元年5月20日、当院は、平成26年度に東西茨城歯科医師会と締結した協定内容を改定するとともに、新たに水戸市歯科医師会、土浦石岡歯科医師会との間で医科歯科連携協定を締結しました。
 平成26年に地元の東西茨城歯科医師会と最初の協定を締結して以来、入院加療中の患者さまの訪問歯科診療を行なうなど、医科歯科連携に取り組んで来ました。今回、隣接する2地区歯科医師会とも協定を締結することで、がん患者様をはじめとした周術期等口腔機能管理の更なる推進や、かかりつけ歯科医師との情報の共有・連携を深め、患者さまが安心して治療を受けられる体制整備に努めてまいります。

地区歯科医師会と連携協定を締結1
地区歯科医師会と連携協定を締結2
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医科歯科連携協議会

 歯や口腔内の健康は、がんなどの様々な病気の治療に大きな影響があり、歯や口腔内が健康であれば、合併症の減少や入院期間の短縮など治療効果が高まる一方で、トラブルがある場合は、病気の治療そのものが出来なくなってしまうこともあります。
 こうしたことを踏まえ、平成26年2月に地域の歯科医の先生方と連携を推進するため、「茨城県立中央病院医科歯科連携協議会」が発足しました。
 令和元年5月には新たに水戸市歯科医師会,土浦石岡歯科医師会の先生方にも参加いただき,医科歯科連携の現状や普及啓発に向けた協議,研修会の開催などを行なっています。

連携機関(歯科)のご紹介

以下の医療機関(歯科)が当院の連携機関となっております。

県央

県北

県南

県西

鹿行

がん医科歯科連携

 令和2年度における周術期等口腔機能管理依頼件数(当院→歯科診療所)は、前年度と比較して1.4倍ほど増加し、前々年度からは約2倍となっています。これは、平成30年11月に入院前支援センターが開設し、入院前の口腔機能管理を歯科診療所へ依頼する業務体制が確立した結果と考えられます。入院前支援センターでは泌尿器科と消化器外科(胃・大腸グループ)から開始され、令和元年度2月から呼吸器外科、令和2年度6月から消化器外科(肝胆膵グループ)、9月から乳腺外科が開始されたため、依頼件数が順次増加しています。今後、他の診療科も参入していく予定のため、依頼件数のさらなる増加が見込まれます。また歯科口腔外科からの依頼が増加していますが、医科から当科に直接依頼があった場合には退院後の口腔機能管理を近隣の歯科診療所へ積極的に逆紹介していることが増加の要因と考えられます。当科では円滑な医科歯科連携のために、その仲介を行うと共に歯科診療所で対応困難な場合には迅速に対応し、医科でのがん治療が滞ることがないよう取り組んでおります。

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