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術前の禁煙のお願い

手術を受けられる患者さんとそのご家族の方へ

 患者さんご本人もしくは同居しているご家族の方が手術を受けられることが決まりましたら、すぐに禁煙をおねがいします。また一緒に暮らすご家族の方が手術を受けられる場合にも、手術を受けられる家族の方のためにも禁煙をお願いします。

 手術は病気を治すために行うものですが、喫煙はそれを妨げる一因になります。喫煙をしていると他に何も病気を持っていなくても、米国麻酔科学会の術前状態分類(ASA-PS)で2となり、手術中および手術後の死亡率は、喫煙をしない他に病気を持っていない患者さん(ASA-PS1)に比べ統計上約10倍になります。具体的には整形外科領域では偽関節、骨癒合障害、創感染、肺炎、脳卒中、術後1年後の死亡率の全てが悪化することが知られています。その他、脳神経外科手術や心臓手術、非心臓手術でも遅発性の神経障害が多くなったり、1年後の生存率が低くなることが知られています。また、受動喫煙は能動喫煙と同様に影響があり、心臓の血管の障害や呼吸器合併症が増えることが知られています。

 しかし、術前に禁煙することによって、様々な合併症の発生頻度を減少させることが出来ます。術前4~8週間の禁煙によって呼吸器系の合併症は減少することが知られています。禁煙によりその他の合併症も減少することが知られていて、何より創治癒改善をもたらします。そのため可能なら今すぐ、手術の4週間前には禁煙をしていただくことによって、手術療法による病気の治癒をよくすることが出来ます。

 4週間前に喫煙が出来なかったら意味が無いかというと、そうではありません。喫煙による影響のうち一酸化炭素とニコチンは組織への酸素の運搬を減少させ、組織での酸素の消費量を増加させるが、その半減期は短く禁煙後2~3日で酸素需給に関しては改善すると言われています。禁煙期間が短くなってしまうから意味が無いと考えずに、とにかく禁煙をして頂けるようにお願いします。

 以上のことから、日本麻酔科学会では周術期禁煙ガイドラインを定め、下記の10項目の認識の確立が重要として啓蒙活動をしています。

  1. 喫煙で種々の周術期合併症は増加し、術後の回復が遅延する。
  2. 術前患者には喫煙の有無を確認し、喫煙者には禁煙の意義と目的を理解させ、禁煙を促す。
  3. 手術前の、いつの時点からでも禁煙を開始することは意義がある。
  4. 手術直前の禁煙でも周術期合併症の増加はみられない。
  5. 可能な限り長期の術前禁煙は、周術期合併症をより減少させる。
  6. 受動喫煙も能動喫煙と同様に手術患者に悪影響を及ぼす。
  7. 敷地内禁煙などの無煙環境の確立は重要である。
  8. 禁煙指導は術前禁煙を促進し、術後の再喫煙率を低下させる。
  9. 周術期禁煙を契機とし、生涯の禁煙を目標にする。
  10. 周術期医療チームや外科系医師、禁煙外来など他科や他職種と協同して周術期禁煙を推進する。

下記の日本麻酔科学会のサイトに周術期禁煙ガイドライン全文が載っていますので、ご一読ください。

 【日本麻酔科学会 周術期禁煙ガイドラインはこちらから】

 

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