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がんの予防

第3回「がんの予防」
病院長 吉川 裕之

 2013年5月、女優のアンジェリーナ・ジョリーが乳がん予防のために両側乳房切除術、2015年3月に卵巣がんを予防するために腹腔鏡下両側卵管卵巣摘出術を受けたことが話題になりました。彼女は、BRCA1という遺伝子に変異(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)があり、生涯に乳がんに約80%、卵巣がんに約40%になるリスクを避けるため、手術を選択しました。乳がんや卵巣がんの患者さんやそのご家族では、このような遺伝に関する検査を希望される方も増えてきています。当院も遺伝外来を新設することが決まっており、この遺伝子検査の準備を進めています。

 がんの予防には、がんになることを予防する「一次予防」と、がんを初期のうちに発見し、がんで亡くなることを予防する「二次予防」があります。遺伝性腫瘍や家族性腫瘍において、がんになりやすい臓器を予防的に摘出することは、新しい一次予防の一つになりましたが、従来から知られている予防法も知っておく必要があります。公益財団法人がん研究振興財団「がんを防ぐための新12か条」には、一次予防として第1条から第9条まで記載されています。1)たばこは吸わない(肺がん、喉頭がんなど)、2)他人のたばこの煙をできるだけ避ける、3)お酒はほどほどに、4)バランスのとれた食生活を、5)塩辛い食品は控えめに(胃がん)、6)野菜や果物は豊富に(食道がん、肺がん)、7)適度に運動、8)適切な体重維持(子宮体がんは肥満と関係が深い)、9)ウイルスや細菌の感染予防と治療(B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス[肝がん;輸血でのチェック、B型では母子感染予防、ワクチン]、ヒトパピローマウイルス[子宮頸がん、中咽頭がん;ワクチン]、HTLV I[成人T白血病;母子感染予防]、ピロリ菌[胃がん;除菌])です。

 第10条は「定期的ながん検診を」です。がん検診は、がんの二次予防になります。ぜひそのような機会を逃さないようにしてもらいたいのです。国が進めるがん検診としては、胃(胃X線、40歳以上の男女・年に1回)、子宮頸部(細胞診、20歳以上の女性・2年に1回)、乳房(視触診とマンモグラフィ(乳房X線)の併用、40歳以上の女性・2年に1回)、肺(胸部X線と喀痰検査(喫煙者のみ)の併用、40歳以上の男女・年に1回)、大腸(便潜血検査、40歳以上の男女・年に1回)があります。1年または2年に1回の定期的な検診を勧めており、がんの早期発見はもちろん前がん状態で発見できることもあります。

 第11条は「身体の異常に気づいたら、すぐに受診を」、第12条は「正しいがん情報でがんを知ることから」です。高齢者やがんの知識が少ない方では、症状が出てからも受診せず、進行がんまで放置することが少なくありません。

よく知られている自覚症状として、胃がん(胃部不快感、食欲不振、食習慣の変化、消化不良)、肺がん(咳、痰、血痰)、乳がん(硬いしこり、血性の乳頭分泌物)、子宮頸がん(性交時出血、血性のおりもの)、子宮体がん(閉経後出血、過多月経)、大腸がん(血便、排便異常、便柱狭小、肛門からの出血)、肝がん・膵がん(上腹部の不快感、黄疸)、食道がん(胸骨裏の激痛、食物を飲み込む時のつかえ感)、口腔がん(難治性の潰瘍)、膀胱がん(肉眼的血尿)、喉頭がん(声のかすれ)、白血病(出血傾向、易疲労感、発熱)、皮膚がん(境界不鮮明なほくろ)などがあります。

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