当院は、地域災害拠点病院・原子力災害拠点病院として認定され、災害対策に積極的に取り組んでいます。災害時医療人材派遣実績もあり、今後、訓練の様子も含め、このページで紹介していきます。
災害拠点病院・原子力災害拠点病院とは
災害拠点病院とは国内において地震・津波・台風・噴火など災害発生時に災害医療を行う医療機関を支援する病院です。厚生労働省が示す指定要件に基づき都道府県が指定することになっており、当院は平成9年に災害拠点病院に指定されました。
原子力災害拠点病院とは原子力災害時に、汚染の有無にかかわらず傷病者等を受け入れ、被ばくがある場合 には適切な診療等を行います。また、原子力災害が発生した立地道府県等内において救急医療等を行う「原子力災害医療派遣チーム」を所有する病院です。当院は平成29年に原子力災害拠点病院に指定されました。
災害対策マニュアル
茨城県立中央病院の
事業継続計画(BCP)
DMAT(災害派遣医療チーム)
茨城県立中央病院は平成20年3月25日に茨城県DMAT指定医療機関として指定されました。
当院では2チームのDMAT隊があり、平成30年3月1日現在、医師5名・看護師6名・業務調整員5名(内補助要員2名)が活動しております。大規模災害が起こった際は、茨城県内だけでなく、国内全域の被災地に迅速にDMATを派遣できるよう、訓練や研修に積極的に取り組んでおります。
DMAT
災害派遣医療チーム Disaster Medical Assistance Teamの頭文字をとって略してDMAT(ディーマット)と呼ばれています。医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。【日本DMATホームページより】
医療人材災害派遣実績
- 令和6年1月
能登半島地震 - 令和2年2月
新型コロナウイルス感染症対応 - 令和元年9月
台風15号災害(DMAT) - 令和元年9月
台風15号災害(DMATロジチーム) - 平成30年9月
北海道胆振東部地震
(DMATロジチーム) - 平成30年7月
西日本豪雨災害(DMATロジチーム) - 平成28年4月
熊本地震(全国知事会要請) - 平成28年4月
熊本地震(DMATロジチーム) - 平成27年9月
関東・東北豪雨 - 平成24年5月
茨城県・栃木県竜巻災害 - 平成23年3月
東日本大震災
公式訓練参加実績
- 令和5年11月
関東ブロックDMAT訓練(神奈川) - 令和5年10月
大規模地震時医療活動訓練(香川、高知) - 令和4年10月
大規模地震時医療活動訓練(静岡) - 令和4年9月
関東ブロックDMAT訓練
(茨城県) - 平成30年12月
関東ブロックDMAT訓練
(主に千葉県内) - 平成30年11月
緊急消防援助隊
北海道東北ブロック合同訓練(福島県内) - 平成30年8月
大規模地震時医療活動訓練(熊本県内) - 平成30年8月
茨城県総合防災訓練
(県立カシマサッカースタジアム) - 平成30年7月
茨城DPAT隊員研修会(茨城県庁) - 平成30年5月
航空搬送拠点臨時医療施設実地訓練
(百里基地) - 平成30年2月
茨城地域DMAT隊員養成研修(茨城県庁) - 平成30年2月
関東ブロックDMAT訓練(主に栃木県内) - 平成29年11月
茨城県・稲敷市総合防災訓練
(江戸崎総合運動公園ほか) - 平成29年10月
日本DMAT技能維持訓練
(内閣府災対本部予備施設) - 平成29年7月
政府広域災害医療活動訓練
(大阪府内、和歌山県内ほか) - 平成29年5月
日本DMAT隊員養成研修
(兵庫県災害医療センター)
お知らせ
能登半島地震におけるDMATの活動に対し感謝状を賜りました
能登半島地震における当院DMATの活動(延べ83名、珠洲市内施設支援等)に対し、校正労働省医政局長から感謝状を賜りました。
(派遣内容)
茨城県第三次派遣
派遣人数 5名(医師1、看護師3、業務調整員1)
派遣期間 令和6年1月6日~同10日(5日間)
茨城県第六次派遣
派遣人数 6名(医師1、看護師3、業務調整員2)
派遣期間 令和6年1月27日~同31日(5日間)
厚生労働省日本DMAT事務局直轄ロジスティクスチーム派遣
派遣人数 1名(業務調整員1)
派遣期間① 令和6年1月15日~同27日(13日間)
派遣期間② 令和6年2月3日~同17日(15日間)
活動報告
能登半島地震 DMAT活動報告
活動期間:令和6年1月6日~9日
令和6年1月1日に発生した能登半島を震源とする地震において、被災した方の支援を行うため、当院よりDMATが派遣されました。
1月6日の早朝より医師1名、看護師3名、業務調整員(薬剤師)1名で出発し、1月9日まで石川県珠洲市で診療所の被災状況の確認や高齢者施設の支援を行ってきました。少しでも被災した方々の支えとなる支援ができるよう、今後とも研鑽を積み重ねていきたいと思います。
青山 一紀(業務調整員)
台風15号 DMAT活動報告
令和元年9月に発生した台風15号は、千葉県内の多くの地点で観測史上1位の最大風速や最大瞬間風速を観測し大きな被害をもたらしました。当院DMATは、千葉県での患者搬送と茨城県DMAT調整本部で本部活動を行いました。
患者搬送には、DMAT 1隊(医師 1名 看護師 1名 業務調整員 1名)を派遣。千葉県内被災した病院から千葉県内の病院に4名 神奈川県内の病院に1名の患者搬送を行いました。茨城県DMAT調整本部では、DMAT 1隊(医師 2名 看護師 3名 業務調整員 2名)を派遣。茨城DPAT(災害派遣精神医療チーム)と協力し千葉県内の病院被害状況及び医療ニーズの情報収集を行いました。
武石 浩明(看護師)
令和元年度 大規模地震時医療活動訓練に参加しました
活動期間:令和元年9月7日
この訓練は、内閣府主催で毎年1回行われているもので、北海道から沖縄まで、まさに全国の関係機関が参加しています。今回は『首都直下地震』を想定して実施され、茨城県は被災地隣県ということで、重要な位置づけとなっていました。当院からは、実際に訓練で活動する「プレーヤー」として1チーム(医師2名・看護師1名・ロジスティックス2名)と、開催者側として訓練を管理する「コントローラー」として看護師1名が参加しました。
当院チームは、前日の9月6日に発災して2日目の想定で9月7日早朝に千葉県庁に参集し、そのまま千葉県庁内に設置された千葉県DMAT調整本部の一員として活動しました。他県のDMAT調整本部活動という、災害現場や病院などでの活動とは違った環境、また、土地勘の薄い状況ということで不慣れな点も多くありましたが、県全体のDMAT活動をコントロールする「縦の連携」と、他の関係機関・部署などとの「横の連携」に必要となる重要な役割を、メンバーそれぞれが担当することができました。
今回は本部活動ということで、情報の収集・管理、指示の伝達が主な活動内容となりました。様々な災害の経験や技術の進歩により、多くの情報や指示が集まってきますが、それらを整理・判断して、必要な場所・人に、早く正確に伝えることが重要です。実際にやってみることで、非常にいい経験をすることができました。今回の想定は『首都直下地震』でしたが、基本的な動き・考え方は他の災害とも共通するため、今回の訓練で得た経験と知識は、今後必要となった際に活かしていきます。
この訓練の2日後の9月9日、台風15号が関東地方を襲いました。その影響で千葉県内の病院が停電・断水のために患者さんを避難させる事態となり、茨城県内のDMATが要請されました。詳細は別記事となりますが、当院のDMATチームも出動し、今回の訓練で得た知識・経験を活かして活動しました。
山崎 裕一朗(医師)
平成30年度 関東ブロックDMAT訓練に参加してきました
活動期間:平成30年12月8日・9日
千葉県北西部における大規模な地震の発生を想定した訓練に参加しました。
関東の医療機関から100あまりのチームが参加し、千葉県庁に置かれた調整本部や千葉県内のいくつかの活動拠点本部などに分かれて訓練を行いました。当院からは2チーム(医師2名、看護師4名、業務調整員2名)が参加しました。
1日目は下総航空基地内のSCU(広域医療搬送拠点)にて、8つの医療機関・チームや自衛隊、消防と合同して活動しました。今回のSCUの訓練では、自衛隊や消防との情報共有・連携の確認を行いました。他の組織との情報共有・伝達・連携の重要性や難しさを感じました。また、SCU指揮所の運営方法や、SCU内の情報共有・伝達の仕方について参考になりました。
2日目の事後検証会では、調整本部・各活動拠点本部の活動や今回の訓練でいくつか行われた試みについての報告・発表があり、振り返りが行われました。
災害等の発生時に組織的に活動するため、他の組織との連携を円滑に行うために、今後も訓練を通して緊急事態に備えていきたいと思います。
千葉 隆司(業務調整員)
平成30年度 緊急消防援助隊
北海道東北ブロック合同訓練に参加してきました
活動期間:平成30年11月17日
緊急消防援助隊とは、大規模な災害や事故が起きた際、全国の消防機関から集結して消防・救助・救急活動にあたる専門部隊のことです。我々は、災害現場において緊急消防援助隊により救助された患者の処置や搬送先及び搬送手段の確認、搬送トリアージ等を行うために医師1名、看護師1名、業務調整員1名で参加しました。消防と合同の訓練ができ、活動時の相互理解を深めることができました。
青山 一紀(業務調整員)
平成30年度 大規模地震時医療活動訓練に参加しました
活動期間:平成30年8月3日~5日
この訓練は、内閣府が主催し全国の関係機関が参加するもので、南海トラフ地震を想定し、「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画(H29.6改正)」等に基づく総合的な実働訓練を通じて組織体制の機能と実効性を検証するとともに、関係機関相互の協力の円滑化を図る目的で実施されました。
当院からは、「コントローラー」と呼ばれる開催者側の一員として各担当区域における訓練を統括する役割を担う医師1名、看護師1名のほか、「プレイヤー」と呼ばれる実働部隊として5名1隊が参加しました。プレイヤーの当初の参集指定場所は四国の松山空港でしたが、現地では直前の豪雨災害で実災害の対応に追われており、急遽、熊本空港に変更となりました。現地のレンタカーを利用して複数の活動本部等を移動しつつ活動し、随所で通信等のスキルも確認でき、最終的には大分銀行ドームSCU指揮所にて活動を終えました。
最も大きな成果は、昨年度に続き、実災害を想定した民間航空機による参集時の、航空会社委託手荷物や機内持込資機材等について、実際の場で詳細を確認できたことでした。(軽自動車の荷室に入りきらない程度の量の医療機器等隊資機材のほか、3日間程度を活動可能な個人装備を携行します)
また、日本DMATの新たな試みである「活動指示票」を使用した初の大規模訓練でもあり、各指揮所等での運用方法はまちまちでありながら、その有用性を確認できたように感じました。更には、J-SPEEDという全国共通のツールを利用した、迅速かつ正確な傷病者情報の共有や、相互の位置情報把握等についても、改めて機能等を確認することができた訓練でした。
田口 賢司(業務調整員)
平成30年度 茨城県総合防災訓練に参加してきました
活動期間:平成30年8月11日
8月11日に県立カシマサッカースタジアムで行われた茨城県総合防災訓練に、医師3名、看護師3名、業務調製員(薬剤師)1名が参加しました。訓練では県庁に設置されたDMAT調整本部と災害現場での救護所活動を行い、DMATだけでなく消防等の災害医療に関係する方々との連携を確認してきました。
茨城県は、2019年に第74回 国民体育大会が開催され、2020年に東京オリンピックのサッカー会場として県立カシマサッカースタジアムの利用が決まっています。そのため、有事の際に迅速に対応できるよう訓練を積み重ねていきます。
青山 一紀(業務調整員)
第3回 茨城DPAT隊員研修会に参加してきました※DPAT:災害派遣精神医療チーム
活動期間:平成30年7月28日~29日
7月28日・29日の2日間、茨城県庁で開催された、第3回茨城DPAT隊員研修会に看護師3名・業務調整員2名(薬剤師 1名・放射線技師 1名)で参加してきました。
DPATは、災害後の精神科医療および精神保健活動の支援を行う専門的なチームです。研修に参加し精神科医療・精神保健活動は、災害時であっても精神保健福祉法の遵守が必要であり医療・行政・警察との連携が重要であることを学びました。
武石 浩明(看護師)
茨城県の航空搬送拠点臨時医療施設
(Staging Care Unit: SCU)に係る実地訓練に参加してきました
活動期間:平成30年5月13日
航空搬送拠点臨時医療施設(SCU)とは、災害時に自衛隊の駐屯地や空港などに立ち上げられる 広域医療搬送のための臨時医療施設で、茨城県では、自衛隊百里基地にSCUを設置することになっています。 具体的活動としては、茨城県が被災した場合には、医療資源不足のために治療が出来ない、県内で発生した傷病者を この百里基地SCUに集め、状態を安定化させ、ヘリや自衛隊機等で十分な医療資源のある県外へ搬送します。 また、他県が被災した場合には、医療資源が不足した他県から百里SCUへ搬送された傷病者を、 茨城県内各医療施設へ受け入れる拠点にもなります。
今回の訓練は、自衛隊の方々の協力のもと百里基地内で行い、茨城県内のDMATと協力して、専用コンテナからの 医療資機材の搬出・展開訓練、および患者搬送の流れ確認等を行いました。また、当院に新しく配備された DMAT車両を初めて訓練で使用しましたので、当院資機材の車載方法や車載機器の動作も確認しました。 当院は百里基地(茨城空港)から比較的近く(陸路で35分程度)、引き続き訓練等に積極的に参加し、 有事に活動できる様に準備していきます。
岡田 亜砂子(ICU看護師/日本DMAT隊員)
第1回 茨城地域DMAT隊員養成研修報告
活動期間:平成30年2月17日~18日
DMATは、大まかに言って、日本DMATとローカルDMATに分けられます。ローカルDMATは県内災害に対応することを目的として養成され、研修期間でいうと、日本DMATは4日間、ローカルDMATは2日間という違いがあり、ローカルDMAT養成研修は県単位で開催されます。
平成30年2月17日~18日に茨城県庁において、茨城県で初めてローカルDMAT(茨城県では、茨城地域DMATと呼びます)養成研修を茨城県主催で開催しました。当院青木災害担当看護師長が中心となって本養成研修が企画され、計35名が茨城地域DMATとして認定されました。今後も年1回の開催を予定しています。
関 義元(医師)
平成29年度 関東ブロックDMAT訓練に参加してきました
活動期間:平成30年2月10日
ミッションを予め決められた指定プレイヤーとして、関東ブロック訓練に参加しました。倒壊家屋に近接する現場救護所を想定して活動し、救護所の立ち上げと運営を行いました。発災時にともに活動する消防との連携の大切さと難しさを痛感しました。今後の活動に活かしていければと考えます。JAXAの協力を得て超高速インターネット衛星きずなを介した通信手段の確立や、ドローンを用いた倒壊状況の確認など、多くの学びもありました。
川﨑 普司(医師)