臨床倫理コンサルテーションチームについて
臨床倫理コンサルテーションは、職員が医療現場で直面した様々な臨床倫理上の問題(患者診療・ケアにおける倫理・社会・心理・法的問題等)について相談を受け、可能な限り早急に多職種チームで対応し、助言を行う目的で設置されました。
臨床倫理コンサルテーションの対象となる臨床倫理問題について
具体的には以下に挙げるような医療現場で遭遇する葛藤や社会的な懸案事項を想定しています。
- 治療方針を巡る医療チーム内での意見の相違
- 患者本人や家族が適応のない治療を望む場合
- 患者の意向と家族の希望が異なる場合
- 治療拒否
- 心肺蘇生術を実施するかどうかの判断
- 一旦開始した延命措置を中止するかどうかの判断 など。
臨床倫理コンサルテーションの流れについて
医療現場で上記のような臨床倫理問題に遭遇した職員は、臨床倫理コンサルテーションチームに申請書を提出して相談します。申請を受けた当チームは集まって相談内容について検討し、対応・助言を行います。ただし、内容によって病院としての判断が必要だと考えられる場合には、病院長を通じ倫理委員会での審議を依頼することになります。
実績
令和6年度の実績
今年度は、緩和ケアセンター、耳鼻科、総合診療科より計3件の倫理コンサルテーションの依頼がありました。依頼があった際には、迅速に対応可否を判断し、緊急性が高い場合には申請から1時間以内に開催するなど、柔軟かつ迅速に対応を行いました。
コンサルテーションには、主治医、当該部署の看護師長、受け持ち看護師など、関係職種ができる限り参加できるよう調整し、臨床倫理の4分割法を用いた検討資料をもとに、多職種での意見交換を通して様々な視点から検討を行いました。
今年度の特徴的な事例は、意思決定能力が低下した患者における代理意思決定の妥当性の検討や生命リスクが高い中での本人の希望に寄り添った退院調整がありました。予後が限られた状態であっても、自宅での最期を望む本人の意向を尊重し、安全かつ現実的な支援体制の構築を多職種で検討しました。