当科の特色
部長
久保田 典子
(くぼた のりこ)
皮疹の裏に何があるか?
病態を考える皮膚科診療
皮膚疾患の主要症状である皮疹を、視診・触診、ダーモスコープを用いて詳細にとらえ理論的に分析します。生検も必要に応じて行い(令和6年度施行件数 141件)、病理組織像を基に正確な診断・治療に結びつけるよう努力しています。膠原病・血管炎や悪性腫瘍など、皮疹が全身性疾患の症状として現れる場合は必要に応じて適切な診療科と連携します。皮膚外来については形成外科と密接な連携のもと、術後の美的・機能的な要素も重視し、最適な切除・再建を目指します。
スタッフ紹介
部長
久保田 典子
(くぼた のりこ)
専門領域
- 皮膚科
- 乾癬
- アトピー性皮膚炎
資格
- 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本アレルギー学会
医員
矢口 望
(やぐち のぞみ)
専門領域
- 皮膚科
資格
- 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
所属学会
- 日本皮膚科学会
- 日本美容皮膚科学会
医員(専攻医)
岩﨑 理子
(いわさき りこ)
専門領域
- 皮膚科
所属学会
- 日本皮膚科学会
医員(専攻医)
安永 詩織
(やすなが しおり)
専門領域
- 皮膚科
所属学会
- 日本皮膚科学会
主な対象疾患・治療法
- 皮膚皮下組織に症状が出現する疾患はすべて取り扱います。膠原病・血管炎など、皮疹が全身性疾患の主要症状である場合もあります。
- 外傷に関しては手指・顔面といった機能・容貌を特に重視しなければならない部位の挫創・熱傷にも対応します。
自由診療(美容医療)

診療実績
令和6年度
蜂窩織炎、帯状疱疹、重症薬疹、自己免疫性水疱症、熱傷、動物咬傷など入院治療を要する疾患に対して、地域の先生方からご紹介いただき積極的に対応しています。手術症例に対しても望ましい場合には入院治療としております。(令和6年度入院症例数111人)
良性腫瘍・悪性腫瘍
良性腫瘍に対して103件(主に皮膚皮下腫瘍摘出術)、悪性腫瘍に対して58件(皮膚悪性腫瘍摘出術)と合計161件の手術を施行しました。そのうち81件が形成外科との合同症例でした。令和6年度に新規に対応した皮膚悪性腫瘍の件数を表1に示します。
皮膚悪性腫瘍には様々な種類がありますが、有棘細胞癌、基底細胞癌、悪性黒色腫の頻度が多いとされます。さらに、有棘細胞癌の早期病変として、前駆症の一つである日光角化症、上皮内癌の一型であるボーエン病がよく遭遇する疾患です。皮膚の悪性腫瘍の臨床的な特徴は、患者さんの目にも触れることが多いため早い時期に受診し、早期に対処できる機会が多いということです。当院での症例の半数以上は県央地区の病院・診療所からの紹介例であり、高齢者の患者が大多数です。令和2~3年は新型コロナウイルスの流行に伴い受診控えの影響がありましたが、その後は当院にご紹介いただき検査・治療に至る件例が増加しています。なお、皮膚科にご紹介いただいたことを契機に肺癌、胃癌、悪性リンパ腫などの皮膚科以外を原発とする悪性腫瘍が明らかになることもあります。その場合には速やかに検査を進め、当該診療科へご紹介させていただいております。
【表1.主要な皮膚悪性腫瘍(令和6年度)】
| 症例数 | |
|---|---|
| 有棘細胞癌・ケラトアカントーマ | 37例 |
| 日光角化症 | 8例 |
| ボーエン病 | 14例 |
| 基底細胞癌 | 10例 |
| 悪性黒色腫 | 1例 |
| 乳房外パジェット病 | 2例 |
| その他の付属器系悪性腫瘍 | 2例 |
乾癬
生物学的製剤の登場により、従来は治療困難であった関節症性乾癬、膿疱性乾癬、重症乾癬患者に対して、有効性を維持しながら安全に治療を行うことが可能となりつつあります。従来の 軟膏治療の他にも narrow band UVBによる紫外線治療、エトレチナート・シクロスポリン・アプレミラスト内服、生物学的製剤、経口 JAK阻害剤、経口 TYK2阻害剤を症例ごとに組み合わせて治療を行っております。
アトピー性皮膚炎
普通の生活ができるようにコントロールすることに主眼をおき、アレルギー的側面ばかりでなく、症状の悪化や感染症併発の原因となる皮膚のバリア障害を改善するため、スキンケアの必要性を十分に説明しています。重症患者には者には narrow band UVBによる紫外線治療、生物学的製剤や経口 JAK阻害剤を導入しております。
特発性の慢性蕁麻疹
血液中のIgEなどの免疫成分が皮膚にあるマスト細胞を活性化すると、ヒスタミンなどの炎症性物質が放出されて蕁麻疹を起こします。抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬などで治療を行うことが一般的ですが、難治例に対しては抗 IgE抗体や抗 IL-4/13阻害剤などの生物学的製剤が保険適応となっており、当院でも積極的に導入しております。
円形脱毛症
ステロイド外用・局所注射・短期内服(外来通院)やステロイドパルス点滴(入院)、
narrow band UVBによる紫外線治療、 SADBEによる局所免疫療法で治療行っておりましたが、 2022年以降に重症例では経口 JAK阻害剤、経口 JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害剤が保険適応となりました。当院でも日本皮膚科学会から掲出されている円形脱毛症診療ガイドラインに沿って治療を進めております。
(令和6年度)乾癬・アトピー性皮膚炎・蕁麻疹・円形脱毛症などに対する生物学的製剤等の投与症例数
| 症例数 | |
|---|---|
| デュピクセント | 31例 |
| イブグリース | 3例 |
| ミチーガ | 4例 |
| ゾレア | 9例 |
| ヒュミラおよび アダリムマブ BS | 2例 |
| ステラーラおよび ウステキヌマブ BS | 7例 |
| ルミセフ | 1例 |
| トルツ | 3例 |
| トレムフィア | 3例 |
| スキリージ | 7例 |
| ビンゼレックス | 1例 |
| オルミエント | 3例 |
| ソーティクツ | 1例 |
| リンヴォック | 1例 |
| リットフーロ | 2例 |
| 合計 | 78例 |
レーザー治療
扁平母斑、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着などの色素沈着性疾患(保険適応)、老人性色素班(自費診療)については、メラニンをターゲットとしたQスイッチ付アレキサンドライトレーザーによる治療をこれまで施行していましたが、令和6年10月にレーザー機械が故障したため一時中断を余儀なくされました。(令和6年度年間照射件数 16 件、自費疾患含む)。機械の選定作業を精力的に行い、ピコ秒レーザー(PicoSure)を令和7年3月に導入致しました。保険適応の疾患は今まで以上の治療効果を期待でき、自費診療で対応可能な色素性疾患も増えておりますので今後大いに活用すると期待されます。
単純性血管腫、いちご状血管腫、毛細血管拡張症、酒さといった疾患に対しては、拡張血管内のヘモグロビンを標的としたパルス幅可変式ロングパルスダイレーザー(V beam perfecta)で治療を施行しています。血管径に合わせたパルス幅(照射時間)を設定できるため治療効果が高く、また、レーザー照射直前に皮膚を保護する冷却ガスが噴霧されるため、照射エネルギーを上げても熱傷の危険が少なく、照射時の痛みも軽減されます。(令和6年度年間照射件数 53件)
顔面の母斑細胞母斑や脂漏性角化症、眼瞼黄色腫などの良性腫瘍に対しては、炭酸ガスレーザーを使用し、メスを使わない手術を行うこともあります(令和6年度施行件数年度施行件数 5件)。
紫外線治療
全身型narrow band UVB照射器を使用し、乾癬、類乾癬、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫などの悪性リンパ腫に対する治療を効率的に行っています。(令和 6年度照射件数 424 件)
その他
湿疹性病変に対しては、パッチテストなどで可能な限り原因を突きとめるようにしています。また、様々な皮膚感染症も見落とすことがないよう、疑われれば顕微鏡検査、培養検査などを施行しています。
自由診療
老人性色素斑・肝斑に対して、ビタミンやトラネキサム酸の内服、ハイドロキノン外用剤などを組み合わせて引き続き良好な結果を得ています。前述のとおり、令和 7年 3月にピコ秒レーザーを新規導入しましたので、今後はより高い治療効果を期待できます。
通常の治療に反応しにくいざ瘡に対してケミカルピーリングを導入しており、引き続き良好な結果が得られています。(令和 6年度施行件数 65 件、自費)
令和5年度より、巻き爪に対して VHOワイヤーを用いた矯正法を開始しました。 VHO法では個々の巻き爪の形状や爪周囲の状況に合わせてワイヤーの長さやカーブ、張り具合をその場で調整できます。ワイヤーを爪に引っ掛ける構造なので、爪・皮膚に損傷を与えないことも特徴です。(令和 6年度施行件数 2 件、自費)他、男性型脱毛症に対する内服治療も継続しています。
臨床研究
お知らせ
- 当院広報誌 ほっとタイムズ(Vol.31)の教えてドクターQ&Aのコーナーで「帯状疱疹」について取り上げました。
- 当院広報誌 ほっとタイムズ(Vol.40)の教えてドクターQ&Aのコーナーで「マスクによる肌トラブル」について取り上げました。