当院において発生した医療事故について

 平成26年1月、患者様に意識障害が生じ、その改善が認められない状態となった医療事故が発生致しました。患者様は、約6年間の入院治療の後に亡くなられました。病院・全職員は、亡くなられた患者様のご冥福をお祈りするとともに、御家族・関係者様に対し心よりお詫び申し上げます。
 全職員が一丸となって再発防止に努め、安心安全な医療の提供を通して、県民の信頼回復に努めております。御家族様のご了承のもと、ここに公表させていただきます。

1 事案概要

 平成26年1月、悪性腫瘍治療のため当院に入院している患者様へ、医師の指示により、夜間の興奮状態を抑え入眠を促すための薬剤を点滴投与しました。その後、入眠されたため、点滴を中止して経過を観察していましたが、呼吸停止が発生し、低換気状態に陥り、その後、低酸素脳症によると考えられる意識障害が生じ、回復されないまま、令和2年に亡くなられました。

2 事案の問題点
  • せん妄(※1)に対する対応として、リエゾンチーム(※2)からは不穏時に使用するよう指示された薬剤を、診療科チーム・看護師が入眠を促し、せん妄を予防する目的で使用した点で、薬剤の使用目的の認識に違いがあったこと。
  • 薬剤点滴投与時に、パルスオキシメーター等の機器により、呼吸・循環のモニタリングや医療者の立ち会いでの観察が不十分となってしまったこと。

(※1)せん妄とは意識障害の一つで、錯覚、妄想があり、興奮、不穏状態を示したり、うわごとなどを言ったりする状態。
(※2)リエゾンチームとは精神科医、専門性の高い看護師、薬剤師、作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理技術者等多職種からなるチーム。

3 再発防止策

 本事案を病院・全職員一人ひとりが真摯に受け止め、発生後速やかに、以下の再発防止策を定め、実践し、再びこのような医療事故を起こさないように努めております。

  • 意識障害に対する薬剤を投与する際、内服可能な患者様の場合は、内服薬の投与を優先して検討する。
  • 点滴投与が望ましい場合は、バイタルサインおよびその変動に十分に留意のうえ投与を行う。
  • 使用中に呼吸抑制の可能性がある薬剤を投与する場合は、御家族に必要性を説明の上、バイタルサインを確認して投与し、パルスオキシメーターなどで経皮的酸素飽和度を連続的にモニタリングしながら、医療者の立ち会いのもと入眠までの使用とする。
  • 以上のような作用をもつ薬剤の使用にあたっては、医療者において、より十分な観察を継続的におこなう。

 上記対策につきましては、毎年再評価を行い、さらに定期的な医療安全管理対策マニュアル改定時に更新しており、薬剤投与の指示および状態の確認方法などをより具体的に明示することで、再発防止策をさらに徹底しております。

                             令和4年7月14日
茨城県立中央病院長

本件に関するお問合せ

茨城県立中央病院 総務課 電話 0296-77-1121(代)