当科の特色

医長
斎藤 小弓



(さいとう こゆみ)

皮疹の裏に何があるか?


病態を考える皮膚科診療

 皮膚疾患の主要症状である皮疹を、視診・触診、ダーモスコープを用いて詳細にとらえ理論的に分析します。生検も必要に応じて行い(令和5年度施行件数 138件)、病理組織像を基に正確な診断・治療に結びつけるよう努力しています。膠原病・血管炎や悪性腫瘍など、皮疹が全身性疾患の症状として現れる場合は必要に応じて適切な診療科と連携します。皮膚外来については形成外科と密接な連携のもと、術後の美的・機能的な要素も重視し、最適な切除・再建を目指します。

スタッフ紹介


医長
斎藤 小弓



(さいとう こゆみ)

専門領域
  • 皮膚科
資格
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医・指導医
所属学会
  • 日本皮膚科学会
  • 日本臨床皮膚科医会

医員
矢口 望



(やぐち のぞみ)

専門領域
  • 皮膚科
資格
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
所属学会
  • 日本皮膚科学会

医員
アマデアル 亜琵



(あまである あび)

専門領域
  • 皮膚科
所属学会
  • 日本皮膚科学会

医員(専攻医)
安永 詩織



(やすなが しおり)

専門領域
  • 皮膚科
所属学会
  • 日本皮膚科学会

(非常勤医師)
前部長
狩野 俊幸



(かのう としゆき)

専門領域
  • 皮膚悪性腫瘍診断
  • 皮膚病理診断
  • 乾癬、アレルギー疾患
  • レーザー治療を含む美容皮膚科
資格
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医・代議員(医療問題検討委員)
  • 日本臨床皮膚科学会 会員
  • 日本がん治療認定医機構 暫定教育医
所属学会
  • 日本皮膚科学会
  • 日本臨床皮膚科学会

(非常勤医師)
加藤 優佳



(かとう ゆか)

専門領域
  • 皮膚科
所属学会
  • 日本皮膚科学会

主な対象疾患・治療法

  • 皮膚皮下組織に症状が出現する疾患はすべて取り扱います。膠原病・血管炎など、皮疹が全身性疾患の主要症状である場合もあります。
  • 外傷に関しては手指・顔面といった機能・容貌を特に重視しなければならない部位の挫創・熱傷にも対応します。

診療実績

令和5年度

 蜂窩織炎、帯状疱疹、重症薬疹など入院治療を要する疾患に対して、地域の先生方からご紹介いただき積極的に対応しています。(令和5年度入院症例数124人)

良性腫瘍・悪性腫瘍

 良性腫瘍に対して98件(主に皮膚皮下腫瘍摘出術)、悪性腫瘍に対して47件(皮膚悪性腫瘍摘出術)と合計145件の手術を施行しました。そのうち83件が形成外科との合同症例でした。令和5年度に新規に対応した皮膚悪性腫瘍の件数を表1に示します。

 皮膚悪性腫瘍には様々な種類がありますが、有棘細胞癌、基底細胞癌、悪性黒色腫の頻度が多いとされます。さらに、有棘細胞癌の早期病変として、前駆症の一つである日光角化症、上皮内癌の一型であるボーエン病がよく遭遇する疾患です。皮膚の悪性腫瘍の臨床的な特徴は、患者さんの目にも触れることが多いため早い時期に受診し、早期に対処できる機会が多いということです。しかしながら、鑑別すべき良性疾患、炎症性疾患は多数あり、いかに疑う目を持ち鑑別できる技術を備えているかがポイントといえます。当院での症例の半数以上は県央地区の病院・診療所からの紹介例であり、高齢者の患者が大多数です。日光角化症を背景にした有棘細胞癌および基底細胞癌の症例が多くみられます。特に令和2~3年は新型コロナウイルスの流行に伴い受診控えの影響がありましたが、その後は当院にご紹介頂く件数が増加しています。

【表1.主要な皮膚悪性腫瘍(令和5年度)】

 症例数
有棘細胞癌(付属器癌を含む)18例
日光角化症15例
ボーエン病12例
基底細胞癌15例
悪性黒色腫1例
乳房外パジェット病3例
間葉系肉腫1例
                      
乾癬

 生物学的製剤(TNFα阻害剤、IL-12/23 p40阻害剤、IL-23p19 阻害剤、IL-17A阻害剤、IL-17 受容体A阻害剤、IL17A/F阻害剤)の登場により、従来は治療困難であった関節症性乾癬、膿疱性乾癬、重症乾癬患者に対して、有効性を維持しながら安全に治療を行うことが可能となりつつあります。当院は「日本皮膚科学会による生物学的製剤承認施設」となっており、令和5年度継続投与中の症例は23件です。TYK2阻害剤は1例導入しました。

アトピー性皮膚炎

 普通の生活ができるようにコントロールすることに主眼をおき、アレルギー的側面ばかりでなく、症状の悪化や感染症併発の原因となる皮膚のバリア障害を改善するため、スキンケアの必要性を十分に説明しています。重症患者には生物学的製剤であるIL-4/13 受容体阻害剤を導入し、令和5年度継続投与中の症例は27 件となっています。JAK 阻害剤は1例で継続中です。

 

レーザー治療

 扁平母斑、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着などの色素沈着性疾患については、メラニンをターゲットとしたQスイッチ付アレキサンドライトレーザーによる治療を施行しています。老人性色素斑に対しても有効ですが保険適応外であるため自費で対応しています。(令和5年度年間照射件数 38 件、自費疾患含む)。
単純性血管腫、いちご状血管腫、毛細血管拡張症、酒さといった疾患に対しては、拡張血管内のヘモグロビンを標的としたパルス幅可変式ロングパルスダイレーザー(V beam perfecta)で治療を施行しています。血管径に合わせたパルス幅(照射時間)を設定できるため治療効果が高く、また、レーザー照射直前に皮膚を保護する冷却ガスが噴霧されるため、照射エネルギーを上げても熱傷の危険が少なく、照射時の痛みも軽減されます。(令和5年度年間照射件数 54件)
顔面の母斑細胞母斑や脂漏性角化症、眼瞼黄色腫などの良性腫瘍に対しては、炭酸ガスレーザーを使用し、メスを使わず縫合しない手術を行うこともあります(令和5年度施行件数 6件)。

紫外線治療

 全身型ナローバンドUVB照射器を使用し、乾癬、類乾癬、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫などの悪性リンパ腫に対する治療を効率的に行っています。(令和5年度照射件数 497 件)

その他

 湿疹性病変に対しては、パッチテストなどで可能な限り原因を突きとめるようにしています。また、様々な皮膚感染症も見落とすことがないよう、疑われれば顕微鏡検査、培養検査などを施行しています。

自費診療

 老人性色素斑・肝斑に対して、ビタミンやトラネキサム酸の内服、ハイドロキノン外用剤などを組み合わせて引き続き良好な結果を得ています。老人性色素斑については前述のとおり、Qスイッチ付アレキサンドライトレーザーによる治療も行っています。通常の治療に反応しにくいざ瘡に対して、学会ガイドラインでも推奨されているグリコール酸によるケミカルピーリングを導入しており、引き続き良好な結果が得られています。(令和5年度施行件数 56 件、自費)
令和5年度より、巻き爪に対してVHOワイヤーを用いた矯正法を開始しました。VHO法では個々の巻き爪の形状や爪周囲の状況に合わせてワイヤーの長さやカーブ、張り具合をその場で調整できます。ワイヤーを爪に引っ掛ける構造なので、爪・皮膚に損傷を与えないことも特徴です。(令和5年度施行件数 4 件、自費)他、男性型脱毛症に対する内服治療も継続しています。

臨床研究

皮膚科臨床研究発表実績

茨城県立中央病院臨床研究発表実績まとめ

当科の取り組み

赤アザ、赤ら顔、赤ニキビでお悩みの方へ

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