当科の特色

口腔統括局長

病院参事
口腔統括局長
筑波大学附属病院



茨城県地域臨床
教育センター教授
柳川 徹



(やながわ とおる)

口腔がんを中心に口腔顎顔面外科の手術を行っています。


茨城県の地域がんセンターとして『口腔がん治療』に取り組んでいます

 茨城県の県北および県央地域で『口腔がん』の治療を行っている口腔外科が数少ない現状を解決すべく、口腔がんの治療を中心に2018年より筑波大学附属病院 茨城県地域臨床教育センターとして筑波大学附属病院に通院困難な患者さまにも高度な医療を提供できるよう開始いたしました。口腔がんについて対応の困難な医療機関、歯科医療機関などをはじめ歯科治療に関わっております。
 また、頭頸部キャンサーボードを毎週開催して他職種との連携を図り、『耳鼻咽喉頭頸部外科』・『放射線治療科』・『放射線診断科』・『消化器外科』・『消化器内科』・『形成外科』などの診療科やメディカルスタッフと協議して最善の医療を提供すべく治療方針を決定しています。
 一方、『がん医科歯科連携』に重点を置いて、当院(医科)で手術や化学療法,放射線療法を受けていただく患者様の口腔の管理を行い(周術期等口腔機能管理)、計画された治療が口腔のトラブルで滞ることのないようサポートすることを重視しています。このために近隣の歯科医師会と協力して『病診連携』を推進しております。

口腔顎顔面外科領域の手術を中心とした治療を行っています

 一般の歯科診療所で対応できないような顎口腔領域の口腔外科疾患を対象に治療を行っています。《主な対象疾患》

  • 口腔がん(舌がん、歯肉がん、口底がん、口唇がん など)
  • 顎変形症(顎矯正手術ほか) 
  • 埋伏智歯、有病者の抜歯などの観血処置
  • 歯科インプラント治療・顎顔面インプラント
  • 顎炎、蜂窩織炎などの炎症
  • 良性・悪性腫瘍と囊胞性疾患
  • 外傷(歯牙脱臼・歯槽骨骨折・顎骨骨折など)
  • 口腔粘膜疾患(アフタ・難治性口内炎・扁平苔癬・白板症など)
  • 顎関節疾患(顎関節症・顎関節脱臼など)
  • 唾液腺疾患(唾液腺炎・唾液腺腫瘍・唾石症など)
  • 唇顎口蓋裂など先天奇形(準備中)
    ※一般歯科治療(むし歯や歯周病の治療および義歯製作など)は原則として行っておりませんが、全身疾患のため歯科診療所では対応できない患者様に関してはその限りではなく、主治医からの紹介により対応させていただく場合があります。

口腔がんに対しては多職種によるカンファレンスを行い、最善の医療を提供します

歯科口腔外科スタッフ1

頭頸部キャンサーボード(会議)のメンバー

歯科口腔外科スタッフ2

多職種による嚥下カンファレンスのメンバー

歯科口腔外科の外来は歯科医師・医師の資格を持つダブルライセンスと歯科医師、歯科衛生士、看護師などで行っています

歯科口腔外科集合写真
歯科口腔外科集合写真

スタッフ紹介


口腔統括局長

病院参事
口腔統括局長
筑波大学附属病院



茨城県地域臨床
教育センター教授
柳川 徹



(やながわ とおる)

専門領域
  • 口腔癌
  • 唇顎口蓋裂
  • 顎変形症 
  • 顎顔面インプラント 
  • 顎顔面外傷 
  • 口腔外科一般
資格
  • 日本口腔外科学会 口腔外科専門医・指導医
  • 日本口腔科学会 認定医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構 認定医
  • 日本がん治療認定医機構 認定医(歯科口腔外科)
  • 日本外傷歯楽会 理事・認定医・専門医・指導医
  • 日本有病者歯科医療学会 認定医・専門医・指導医
  • 日本口蓋裂学会 認定師
所属学会
  • 日本口腔外科学会
  • 日本口腔科学会
  • 日本外傷歯学会
  • 日本有病者歯科医療学会
  • 日本口蓋裂学会
  • 日本頭頚部癌学会
  • 日本形成外科学会
  • 日本顎顔面インプラント学会
  • 口腔病学会
  • 日本口腔診断学会
  • アジア口腔顎顔面外科学会
  • 日本レーザー医学会

長井医師

医長
長井 宏樹



(ながい ひろき)

専門領域
  • 口腔外科一般・歯科インプラント
資格
  • 日本口腔外科学会 認定医
所属学会
  • 日本口腔外科学会
  • 日本口腔科学会
  • 摂食嚥下リハビリテーション学会

和田隆志歯科医師

医員(専攻医)
和田 隆志



(わだ たかし)

専門領域
  • 口腔外科一般
所属学会
  • 日本口腔外科学会
  • 日本口腔科学会

(非常勤歯科医師)
筑波大学医学医療系
顎口腔外科学 准教授
山縣 憲司



(やまがた けんじ)

専門領域
  • 口腔腫瘍
  • 顎変形症
  • 唇顎口蓋裂
  • インプラント
  • 口腔診断・口腔内科
  • 周術期等口腔機能管理
資格
  • 日本口腔外科学会 口腔外科専門医・指導医 
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医・指導責任者(歯科口腔外科)
  • 日本口腔腫瘍学会暫定口腔がん指導医
  • 国際口腔顎顔面外科専門医(FIBCSOMS)
所属学会
  • 日本口腔外科学会 
  • 日本口腔腫瘍学会

(非常勤歯科医師)
筑波大学医学医療系
顎口腔外科学 講師
菅野 直美



(かんの なおみ)

専門領域
  • 口腔外科一般
  • 口腔腫瘍
  • 顎顔面インプラント
  • 口腔診断・口腔内科
  • 周術期等口腔機能管理
資格
  • 日本口腔外科学会 口腔外科専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医(歯科口腔外科)
  • 日本口腔科学会 認定医・指導医
所属学会
  • 日本口腔外科学会
  • 日本口腔科学会
  • 日本口腔腫瘍学会
  • 日本頭頸部癌学会
  • 日本顎顔面インプラント学会
  • 日本有病者歯科医療学会
  • 日本口腔ケア学会

非常勤内田文彦医師

(非常勤歯科医師)
筑波大学医学医療系
顎口腔外科学 講師
内田 文彦



(うちだ ふみひこ)

専門領域
  • 口腔外科一般
  • 口腔腫瘍
  • 顎顔面インプラント
  • 口腔診断・口腔内科
  • 周術期等口腔機能管理
資格
  • 日本口腔外科学会 口腔外科専門医・指導医
  • 日本口腔科学会 認定医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医(歯科口腔外科)
所属学会
  • 日本口腔外科学会
  • 日本口腔科学会

福澤智非常勤歯科医師

(非常勤歯科医師)
筑波大学附属病院
歯科口腔外科病院講師
福澤 智



(ふくざわ さとし)

専門領域
  • 口腔癌
  • 顎変形症
  • 顎顔面インプラント
  • 摂食嚥下
  • 有病者歯科
  • 顎顔面外傷
資格
  • 日本口腔外科学会 口腔外科専門医
  • 日本有病者歯科医療学会 指導医 専門医
  • 日本口腔科学会 指導医 認定医
  • 日本口腔インプラント学会 口腔インプラント専門医
  • 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定士
  • 日本がん治療認定医機構認定医(歯科口腔外科)
  • インフェクションコントロールドクター
  • 日本化学療法学会抗菌化学療法認定歯科医師
  • 日本顎顔面インプラント学会審議員
所属学会
  • 日本口腔外科学会
  • 日本有病者歯科医療学会
  • 日本口腔科学会
  • 日本口腔インプラント学会
  • 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
  • 日本化学療法学会
  • 日本顎顔面インプラント学会
  • 日本小児口腔外科学会
  • 日本顎変形症学会
  • 日本睡眠歯科学会
  • アジア口腔顎顔面外科学会
  • 日本口腔腫瘍学会
  • 日本経腸静脈栄養学会

(非常勤歯科医師)
石岡第一病院
口腔外科部長
萩原 敏之



(はぎわら としゆき)

専門領域
  • 顎変形症
  • 有病者歯科
  • 顎顔面インプラント
  • 顎顔面外傷
  • 口腔外科一般
所属学会・専門医等
  • 日本口腔外科学会 口腔外科専門医・指導医
  • 日本有病者歯科医療学会 専門医・指導医
所属学会
  • 日本口腔外科学会
  • 日本有病者歯科医療学会
  • 国際口腔顎顔面外科学会
  • 米国口腔顎顔面外科学会
  • アジア口腔顎顔面外科学会
  • 日本口腔科学会
  • 日本顎変形症学会
  • 日本睡眠歯科学会
  • 日本顎顔面インプラント学会

森永桂輔非常勤歯科医師

(非常勤歯科医師)
森永歯科医院
院長
森永 桂輔



(もりなが けいすけ)

専門領域
  • 歯科麻酔
資格
  • 日本歯科麻酔学会 認定医
  • アメリカ心臓協会 BLSインストラクター
  • 日本救急医学会 ICLSインストラクター
  • 日本体育協会公認 スポーツデンティスト
所属学会
  • 日本歯科麻酔学会
  • アメリカ心臓協会
  • 日本救急医学会 

主な対象疾患・治療法

口腔領域の悪性腫瘍(口腔がん)について

口腔がんとは

口腔がんは、口の中のがんです。さらにそのできる部位によって

  • 口唇がん
  • 舌がん(写真①)
  • 口底がん(写真②)
  • 歯肉がん(上顎歯肉がん、下顎歯肉がん(写真③))
  • 頬粘膜がん(写真④)
  • 硬口蓋がん  などに分けられます。
    これらのうち、舌がんの発生頻度がもっとも高く、口腔がんの6割を占めます。
口腔がん1

写真①舌がん

口腔がん2

写真②口底がん

口腔がん3

写真③下顎歯肉がん

口腔がん4

写真④頬粘膜がん

そのほかには唾液腺に発生するがんなどもみられます。一般的に良性の腫瘍に比べて、悪性腫瘍には、下記などのような共通の性質があります。

  1. 病気の進行が速く大きくなる
  2. できものの周りが硬い
  3. 周囲と癒着していて、境界がはっきりしない
  4. 他の部位に転移する

口腔がんの原因

 がんは遺伝子の変異でおこる病気と言われています。ごく一部のがんを除いて、後天的な要因で起こっています。
 遺伝子の変異は様々な要因で誘発されますが、とくに口腔がんの発生と関係が高いものの中には、喫煙と飲酒は口腔がんの発症リスクを高めます。また、義歯などによる慢性刺激、パピローマウイルスなども一部は原因として疑われています。


口腔がん症状

 口腔がんは男女比3:2となっており、60歳代の人に多く発生します。大きく分けて表在性、外向性、内向性などの形状があります。疼痛のある場合、疼痛のない場合、急速に増大する場合、以前からあってなかなか変化しない場合など症状は多彩ですが、おおむね10ミリ大を越えてくるようであれば、早めの歯科もしくは耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。


口腔がんのステージ

 がんのできている部位や病期、組織の特徴などを総合的に診断して、治療方針を決めますが、一般的には手術療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3つの方法を、単独あるいは組み合わせて治療します。頸部のリンパ節転移があれば頸部郭清術、また原発巣の切除範囲が大きい場合には他部位からの組織を移植する再建術も行われます。
 治癒率は、がんの発生した部位や病期により異なりますが、口腔がん全体の5年生存率は60~70%です。初期のものではほとんどの症例が治癒しますので、恐れずにできるだけ早期に受診することが大切です。

口腔がんの治療法

口腔がんの治療法の選択

 口腔がんでは、手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)の3つの方法を、単独あるいは組み合わせて治療します。がんのできている部位や病期、組織の特徴などを総合的に診断して、治療方針を決めます。頸部のリンパ節転移があれば頸部郭清術、また原発巣の切除範囲が大きい場合には他部位からの組織を移植する再建術も行われます。
 初期のものではほとんどの症例が治癒しますので、恐れずにできるだけ早期に受診することが大切です。

口腔がん5

手術療法

 口腔がんの治療には最も良く行われる治療です。口腔がんのほとんどは扁平上皮がんという種類のがんです。これらは、頸部のリンパ節を伝わって血流に流れ肺に転移します。よって、口腔のがんのみでなく、リンパ節の手術も必要になります。深く浸潤している口腔がんについては、リンパ節の手術も同時に行うことがあります。
 肺まで転移している場合は、一般には手術は不能とされています。手術の大きさによっては12時間を超える手術となることがあります。また、大きくがんを切除した場合は、形成外科と共同して皮弁による再建手術を行うことがあります。

口腔がん6

放射線治療

 放射線治療は、一部の限られた範囲の大きさの口腔がんでは有効な方法(組織内照射など)もありますが、ある一定以上の大きさの口腔がんやリンパ節に転移している場合などでは、放射線治療のみで治る可能性は低くなっています。しかし、全身状態が悪く長時間の手術に耐えられない、手術の切除による機能の喪失が堪え難いなどの理由で手術が出来ない・希望しない場合があります。その場合は、放射線治療を行います。

口腔がん7

 放射線治療も当院では放射線治療科と綿密に連携を取って治療を行います。また、口腔がんの手術の後に病理の検査の結果で、がんが予想以上に進展していることが解ったときや、リンパ節が多数転移していて後で再発するリスクが高いときには放射線治療を手術に追加で行うことがあります。おおよそ数週間から2ヶ月程度の入院となります。


化学療法

 現時点で固形がん(血液以外のがん)を抗がん剤のみで治癒できる方法はほとんどありません。残念ながら薬だけで治る口腔がんは現時点では見つかっていません。しかし、放射線化学療法として放射線治療と同時に行って、放射線の効果を増強させるなどで使用されることがあります。
 シスプラチンというDNAなどの生体成分と結合して分裂細胞に対して抗がん効果を発揮する従来からの抗がん剤がはじめに使われますが、がんの状況と患者さんの全身状態によって内容が変わってきます。
 近年、分子標的治療という薬が開発され、がん細胞の上皮成長因子の阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬などが出てきました。手術、放射線などが有効でない場合に腫瘍内科等と相談して使用を検討する場合があります。

これって口腔がん?

白板症

 白板症は口腔潜在性悪性疾患(Oral potentially malignant disorders)に含まれる疾患です。我が国では約3.1〜16.3%(口腔癌診療ガイドライン)ががん化すると言われています。粘膜の最も外側の部分で  ある上皮が肥厚したもので、その下の毛細血管が透けて見えなくなり、結果的に白く見える状態を指します。痛みはありません。
 経過観察して表面性状が変わってきたりした場合にはがん化していないかチェックするため生検を行います。外科的に全部切除してしまう選択肢もあります。

口腔がん8

※口腔潜在性悪性疾患: Oral potentially malignant disorders 2017年WHOによって定められた、口腔のがんになりやすい病変。12種類の疾患がある。


口腔扁平苔癬

 扁平苔癬も口腔潜在性悪性疾患に含まれる疾患ですが、白板症ほど口腔粘膜にレース状、網状の模様の粘膜病変です。がん化のリスク0〜3%、中には 5.3%という報告もあります。経過ととも白い線状の病変の中に発赤やびらんを認めたり、その形状を変え、刺激物がしみたり接触により出血したりします。病変は左右対称に生じることが多く、多彩な臨床像を呈します。自然治癒することもありますが、長い期間かかることが多いです。炎症がひどい場合はステロイド剤の噴霧や塗布することがありますが、根治的治療とはなりません。

口腔がん9

口腔内の良性腫瘍

 口腔内には、がん(悪性腫瘍)の他に、良性腫瘍があります。写真は下顎隆起

口腔がん10

正常な舌の構造物

 舌には様々な構造物がありますが、普段は口の中をよく見たことがないため、何かのきっかけで気にして見てみると、元からあった構造物ががんでないかと心配になる方がいらっしゃいます。日頃見慣れない舌の奥や咽頭の近くには、数ミリ程度の様々な構造物がありますので、慌てないようにしましょう。有郭乳頭、葉状乳頭、舌扁桃などは舌の奥の方にあるので、見えにくいので、気づくと気になることが多いようです。
※だだし、10ミリを超える大きさのものは少ないので、その場合は、お近くの歯科や耳鼻咽喉科を受診してください。

口腔がん11

口腔がんによる顎顔面の障害の回復

3Dモデルを用いた顎骨再建

 口腔がんの手術では顎骨の切除を行うことがあり、顎骨の欠損のため、顔貌の著しい変形が認められることがあります。
 当科では様々な方法で、手術前の元の顔貌に回復できるような技術を駆使しています。
 顎骨の切除の症例では術前のCTから再構築した3Dモデル(Medical rapid prototyping)を用いて、術後に下顎骨の再建を行い良好な結果を得ています。
Azuma M, Yanagawa T, et al. Head Face Med 2014;10:45. doi: 10.1186/1746-160X-10-45.

顎顔面の障害の回復1

顎顔面インプラント

 当院では通常の歯科インプラント(後述)も対応していますが、口腔がんその他の病気や事故で顎を失った人のために、顎顔面インプラントも行っております。
 顎顔面インプラントは、「広範囲顎骨支持型装置」としてがん、顎骨骨髄炎、外傷等の後などの特殊な場合、保険治療で診療ができます。適応例が限られますので、よく相談下さい。

顎顔面の障害の回復2

歯科インプラント治療

インプラント義歯につきましては、私費治療となります。当科ではStraumann(スイス バーゼル)のインプラントを使用しています。
 顎骨の状況、全身疾患のある方(骨粗鬆症など骨の病気で薬を飲んでいる方、抗血栓療養薬服用中の方、糖尿病の方など)では、植立が困難な場合がありますので、診断の上、植立できるかどうかのご相談となります。
 インプラント治療はメンテナンスが最重要です。メンテナンスを怠ると、人によってはすぐに抜けてしまい、手術を受け高額の費用をかけても長期間もたないこととなります。定期的な通院による歯周病の管理が重要なポイントとなります。ご自身で定期的にメンテナンスができることなどから、お近くの歯科医院の方が適切な場合もありますので、長い期間のメンテナンスも含めてご相談ください。

顎顔面の障害の回復3
顎顔面の障害の回復4

埋伏歯

智歯(親知らず)について

 智歯(ちし:親知らず)では、しばしば抜歯の必要があります。下顎の智歯では萌出しても傾斜したり、水平位に埋伏したりすることはよく知られています。智歯の傾斜や水平位の半埋伏は、第二大臼歯の後ろの面を不潔にし、放置すると深部にう蝕(むし歯)をつくります。また、智歯のまわりは不潔になりやすく、しばしば炎症(智歯周囲炎)をおこします。
 このため、このような智歯は抜歯の対象となります。埋伏智歯も歯列異常や咬合異常を引き起こしたり、まれに埋伏智歯周囲に嚢胞をともなうことがあります。


水平埋伏智歯の抜歯方法

 水平埋伏智歯の抜歯は歯肉を切って骨を削って歯冠を露出させた後、歯冠を分割、場合によって歯根を分割を行います(図1〜12)。
 抜歯後は縫合を行います。手術後3日目くらいまで、腫れた後、退きます。抜糸は約1週間後行い終了となります。


全身麻酔による智歯抜歯

 埋伏智歯の埋まっている場所が非常に深かったり、顎骨との癒着が著しい場合、抜歯に対して恐怖心の強い方、嘔吐反射が強い方、その他特殊な事情で通常の局所麻酔で外来での抜歯が困難である患者様には全身麻酔での抜歯に対応しております(前日入院、翌日全身麻酔下で抜歯、翌々日午前中退院/2泊3日)。 


静脈内鎮静法と入院抜歯

 通常の抜歯や軽い処置でも緊張の強い方、抗血栓療法薬の使用などで術後の出血が予想される方、全身疾患などの理由で特別な理由のある方では入院下で抜歯が必要な場合があります。状況に応じて静脈内鎮静法を行い処置を行い、精神的にリラックスした形で診療を行います(1泊)。


口腔顎顔面外科疾患

顎変形症 

 下顎前突、上顎前突など、歯科矯正治療だけでは修正が困難な先天的に顎の骨格に異常のあるものを顎変形症と言います。術前矯正を矯正歯科と一緒に行い、治療計画を立てた後、当院で手術を行います。

口腔顎顔面外科疾患1

下顎枝矢状分割法

 下顎前突症例では下顎枝矢状分割法という下顎神経を切らないように縦に分割して、顎を前(後)に移動させてかみ合わせを正しい位置に移動させます。

口腔顎顔面外科疾患2

Le Fort I型骨切り術

 上顎前突の症例ではLeFort I型骨切り術方法で、大口蓋動静脈を切らないように残しながら、顎を前(後)に移動させてかみ合わせを正しい位置に動かして固定します。

口腔顎顔面外科疾患3

周術期等口腔機能管理

周術期等口腔機能管理

 周術期等口腔機能管理とは、手術の前後で口腔内を徹底して管理をすることによって術後の誤嚥性肺炎などの合併症を減らしたり、放射線治療や化学療法の際にできる口内炎を軽減させ治療をスムーズにさせたり、全身麻酔の挿管の際に問題となる歯を抜歯したりして、病気の治療の間に支持療法を行い口腔の管理をおこなうことの総称です。
 頭頸部領域、呼吸器領域、消化器領域等の悪性腫瘍の手術、 心臓血管外科手術、人工股関節置換術等の整形外科手術、臓器移植手術、造血幹細胞移植、脳卒中に対する手術などの手術前後に行っております。

周術期等口腔機能管理1

手術前の口腔衛生の指導

周術期等口腔機能管理2

プラークフリー法による歯垢の除去

周術期等口腔機能管理3

病棟往診による口腔内の管理


地元歯科医院との連携

 当院では手術や放射線、化学療法の前に、担当医師より、かかりつけの歯科医院で、周術期等口腔機能管理を開始していただくようお勧めしております。
入院中はかかりつけ歯科医院から当科にお送りいただいた周術期等口腔機能管理計画書に基づいて、手術直前に口腔内を徹底して清掃指導とPMTC(※)を行い、手術前にはプラークフリーを達成しております。
※PMTC:Professional Mechanical Tooth Cleaning
歯科衛生士や歯科医師が低速回転器具を用いて歯の表面、歯の隙間などの汚れを徹底して除去する方法
茨城県立中央病院の医科歯科連携へリンク


周術期等口腔機能管理の手順

 周術期等口腔機能管理は手術前にお近くの歯科医院に受診していただいた後、入院後は、当科で手術前の口腔衛生指導と口腔内を徹底的に綺麗にてしプラークフリーを達成します。
手術の後でさらにチェックを行い、手術前にお送りいただいた歯科医院に報告いたします。
化学療法、放射線療法の場合は治療の間、定期的に口腔内の清掃状態を管理します。
※治療の方法、日程の都合や、入院手術のの日程の関係で、手順が変更になることがあります。

診療実績

令和5年度実績 

外来診療実績

 新患数は近年増加傾向で、令和5年度の新患数は1558名でした。受診経路は約3/4が院外からの紹介で、残りの1/4が院内コンサルという内訳です。院外紹介数は右肩上がりに増加してきています。紹介内容は抜歯をはじめ顎関節症や粘膜疾患、悪性腫瘍と多義に渡ります。一方、院内紹介数(コンサル数)は令和3年度をピークに減少傾向にありますが、これまでと変わらず多くの診療科から依頼があります。依頼内容では、周術期や放射線・化学療法における口腔管理依頼や骨修飾薬使用前・使用中の患者等における口腔内感染源精査および加療依頼、入院患者の歯痛や義歯不適合などの歯科的対応依頼等もあります。

 当院の入院前支援センターでは手術前の口腔機能管理を連携する歯科診療所に依頼し、入院中は当科で引き継ぎ、退院後は再び歯科診療所で治療をお受けいただく、いわば『リレー方式』を基本としております。御協力頂いている歯科診療所の数は増えつつあり、医科歯科連携および病診連携は地域に根付いてきております。『周術期等口腔機能管理』は院内の手術件数の増加とともに今後も増加が見込まれます。また対象手術には脳神経外科手術(脳卒中など)や整形外科手術(人工関節置換術など)もあるため、こちらも周術期口腔機能管理の紹介体制を整えることが課題となっています。

手術件数および入院診療
手術の内訳(令和5年度)
手術名分類件数
埋伏歯抜歯術埋伏智歯抜歯術40
埋伏歯抜歯術(智歯以外)2
上下骨切り手術(顎変形症)1
顎関節脱臼観血的整復術1
顎骨腫瘍摘出術8
歯根嚢胞摘出術+歯根端切除術3
軟組織腫瘍摘出術5
悪性腫瘍舌悪性腫瘍手術(切除)13
舌悪性腫瘍手術+頸部リンパ節郭清術2
舌悪性腫瘍手術+頸部リンパ節郭清術+再建術0
口蓋悪性腫瘍手術(切除)2
上顎骨悪性腫瘍手術(切除)2
下顎骨悪性腫瘍手術(切除)1
下顎骨悪性腫瘍手術+頸部リンパ節郭清術+再建術1
口腔底悪性腫瘍手術1
頬粘膜悪性腫瘍手術+頸部リンパ節郭清術2
その他4
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臨床研究・業績

臨床研究
  • 産婦人科領域悪性腫瘍手術における周術期等口腔機能管理の効果及び効果予測因子に関する後ろ向き観察研究
  • 循環器手術における周術期等口腔機能管理の効果及び効果予測因子に関する後ろ向き観察研究
  • 病院歯科における歯科衛生士の業務の活性を示す指標の検討
業績

歯科口腔外科臨床研究発表実績

茨城県立中央病院臨床研究発表実績まとめ

患者さまへ

当科であまり行われていない疾患

 当科歯科として一通りの設備はあり、一般の歯科治療も可能ではありますが、通常は行っていない疾患や専門的に行っていない疾患があります。その場合は、お近くのかかりつけ歯科医院や、その他の専門の診療施設にご紹介する場合がありますので、診療科の専門性をよく御理解いただき受診していただけますようお願いいたします。

専門でない診療の事例
  • 義歯の制作・調整(当院に入院中などの特別な事情のある場合を除きます)
  • う蝕の処置・歯周病のメンテナンス
  • 歯科矯正治療
  • 口腔心身症(心因性から来る 舌のヒリヒリ感、ネバネバ感、のどの詰まった感じなどの口腔を主体とする違和感)

その他 詳細はお問い合わせください。

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