嚥下外来について
人間にとって「食べる」ことは大変重要なことです。さまざまな病気や、加齢によって、食べる動きや飲み込む機能は低下し「嚥下障害(えんげしょうがい)」をきたします。嚥下障害は、食べ物がのどに詰まる「窒息(ちっそく)」や、むせて肺に入って肺炎を起こす「誤嚥(ごえん)」につながります。
嚥下外来では「飲み込みづらい」「むせる」などの症状のある患者様の嚥下機能を評価し、安全に食べられる方法や食べ物の形態、リハビリテーションの仕方を提案させていただきます。
診療の流れ
問診
摂食・嚥下障害看護認定看護師により普段の飲み込みの状況や生活のご様子についてお伺いします。また嚥下スクリーニングテストを行い、大まかな嚥下機能についてのチェックを行います。
嚥下内視鏡検査
鼻から内視鏡を挿入し、のどの奥を見ながら着色した液体やゼリー、固形物を飲み込んでいただきます。モニターで飲み込みの様子を確認しながら嚥下機能を評価します。
嚥下造影検査
レントゲンを撮影しながらバリウムなどを飲み込んでいただき、嚥下の様子を観察します。
検査について
検査は耳鼻咽喉科医が行い、摂食・嚥下障害看護認定看護師や管理栄養士とともに評価を行います。検査には誤嚥や窒息のリスクが伴いますが、モニターでの確認や吸引、酸素投与などの緊急時の対応が可能な状況で安全に十分留意して行います。
実績
主な活動内容
- 早期に詳細な評価を必要とする患者の相談、嚥下評価、食形態の調整
- 嚥下回診
- 嚥下外来(毎週月曜日)
- 摂食嚥下リハビリテーション相談
(摂食機能療法、摂食嚥下支援加算) - 他施設での訪問での嚥下相談
令和4年度実績
- 認定看護師への相談件数は年間620件でした。相談内容としては、嚥下評価が最も多く、口腔ケア相談、嚥下訓練や食形態の調整となっています。
- 嚥下回診数-相談患者に対し、その後も持続して回診した数は3,440件でした。
- 嚥下外来では、入院患者で62人(表1)、外来患者13人の相談がありました。再診数は入院患者で計12回、外来患者では計13回となっています。
- 摂食機能療法と摂食嚥下支援加算の主な診療科と件数は以下の表2の通りになっています。
新型コロナ肺炎クラスターの影響により、摂食機能療法Ⅰは前年より40%減少しました。摂食機能療法Ⅱは前年度より20%増加、機能回復体制加算は同等でした。 - 多施設の相談は、こころの医療センターから嚥下評価や訓練の相談を4件受け、施設訪問を行い、指導しました。
表1.入院依頼科別件数(人)
診療科 | 件数 |
---|---|
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 | 17 |
脳神経外科 | 3 |
外科 | 5 |
歯科口腔外科 | 7 |
整形外科 | 5 |
呼吸器内科 | 5 |
循環器内科 | 8 |
消化器内科 | 4 |
その他 | 8 |
計 | 62 |
表2.摂食機能療法と摂食嚥下支援加算の主な診療科と件数
脳神経 外科 | 歯科口腔 外科 | 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 | 循環器 内科 | 整形外科 | その他 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
摂食機能療法Ⅰ (185点) | 243 | 41 | 40 | 45 | 6 | 21 | 369 |
摂食機能療法Ⅱ (130点) | 400 | - | - | 6 | - | 4 | 410 |
摂食嚥下機能回復体制加算Ⅱ (190点) | 7 | 13 | 11 | 8 | 11 | 4 | 54 |