感染制御室について
医療関連感染対策の目的は、患者さんとその家族、病院スタッフへ感染症の危険性を減少させることと、院内感染を早期に発見し、拡大を予防することです。また、院内にとどまらず、地域の施設と連携した感染対策の質の向上も目標としています。
このために当院では、院長直轄の感染制御室を設置して、病院感染対策指針のもとに、感染対策委員会、感染制御チーム(Infection Control team:ICT)、抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial StewardshipTeam:AST)、感染対策リンクスタッフ会を組織し、全職種が網羅的に参加して活動しています。
主な活動内容
医療関連感染症発生の予防のために
- 感染防止における問題の発見と、改善策の検討
- 感染対策に対する医療上、看護上のアドバイスを行う
- 衛生的な院内療養環境を提供する
- 器具導入、病院施設などの問題を検討する
- サーベイランスを行い、結果を現場にフィードバックして改善する
- 病院感染関連検出菌の監視と介入を行う
- 適切な抗菌薬処方を推進する
- 職員の研修などを通じ、正しい知識、技術の指導を行う
- 院内感染対策マニュアルの作成、見直し、改訂を適宜行い職員に徹底する
アウトブレイク 特殊な感染症発生時の早期発見と終息のために
- 院内で起きている感染症についてのデータの集積し、早期発見につなげる。
- アウトブレイク・種々の感染症発生に対し、可及的速やかな対応策を講る。
- 医療関連感染症の原因を分析し職員への教育を行う
地域連携
- 感染管理地域連携を行う
- 地域連携病院とカンファレンスを定期的に開催し、感染対策を改善する
- 地域の中小の病院や医療福祉施設へ感染防止対策の支援を行う
- 感染症法に基づく感染症発生届け出の確認、支援を行う
令和2年度実績
1.院内発生事例対応
- COVID-19(職員4件、実習生1県、その他1件)
- 結核(2件)
- 水痘(水痘2件、播種性帯状疱疹1件)
- 下痢・嘔吐 ひまわり保育園にて1件
2.抗菌薬適正使用支援(ASTラウンド)
特定抗菌薬・血液培養養成者・長期抗菌薬使用者ラウンド(1回/週)
介入件数(R2.4.1~R3.3.31)
介入件数 |
抗菌薬の 選択・変更 |
抗菌薬 終了 |
検査 |
投与量 の変更 |
投与設計 |
その他 |
情報提供 |
合計 |
受入率 |
受入あり |
89 |
67 |
41 |
55 |
301 |
11 |
29 |
564 |
84% |
受入なし |
38 |
23 |
15 |
13 |
17 |
2 |
|
108 |
3.職員教育
1.全職員対象
- 第1回感染対策職員講習(期間:5/11~25)受講率99%
「個人防護具の着脱」(動画視聴)
「COVID-19(疑い含む)患者へのケアの留意点」(資料確認)
- 第1回抗菌薬適正使用職員講習(期間:6/8~22)受講率
「血液培養の考え方・抗微生物薬適正使用」(資料確認)
「抗微生物薬適正使用の手引き ダイジェスト版」(資料確認)
- 第2回ICT・AST合同職員講習(期間:10/9~23) 受講率95%
「コロナウイルスを知って院内感染を防ごう」(資料確認)
「耐性菌を増やさないために」(資料確認)
「異なるワクチンの接種間隔について」(資料確認)
2.部門別
- 4/2新採用者集合研修「感染対策」「個人防護具着脱演習」(橋本,稲川,宮川)
- 4/2初期研修医対象N95マスク着脱演習&フィットテスト(宮川)
- 4/4初期研修医対象基本手技研修「感染対策」「個人防護具着脱演習」(稲川,宮川)
- 4/7新規採用看護師対象研修「病院感染対策」(感染対策リンクスタッフ会)
- 10/15,16委託業者(清掃・洗濯・設備)対象講習会
- 11/19,20委託業者(アメニティ)対象講習会
- 11/26委託業者(各売店)対象講習会
- 11/27委託業者(ひまわり保育園)対象講習会
4.サーベイランス
1.保健所報告
- 感染症発生動向調査
- 定点(基幹,インフルエンザ,インフルエンザ入院)
- 感染症法に基づく医師の届出
2.職員および患者の有症状報告
インフルエンザ、下痢、嘔吐など
3.手術部位感染(SSI)
- JANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業)へ報告
- 手術室運営委員会,感染対策委員会にて結果報告(10月)
4.医療器具関連感染
- 尿道留置カテーテル関連尿路感染・中心静脈カテーテル関連血流感染
- 擦式アルコール製剤使用量・回数調査(部署別)

計算式:擦式アルコール製剤払出量(ml)÷延べ入院患者日数÷1回吐出量
5.情報提供・啓発
1.病院感染対策マニュアル改訂
- 2020年8月 医療従事者の身だしなみ(改訂)
- 2020年10月 針刺し・切創及び皮膚・粘膜曝露時対応マニュアル(改訂)
- 2021年2月 安全機能付き器材一覧(改訂)
- 新型コロナウイルス感染症関連マニュアル(2020年1月作成)を順次作成・更新
2.その他
- 職員メール、委員会議事録、電子カルテ内ホームページ、ポータルサイト等にて適宜情報提供を行っている。
6.地域連携・院外対応
- 感染防止対策に係る共同カンファレンス
6/10(web),9/9(集合),12/9(web),3/10(web)
連携施設:こころの医療センター,石岡第一病院,笠間市立病院
- 感染防止対策に係る地域連携:施設間ラウンド
6/19当院,10/7協和中央病院,10/28水戸協同病院
7.職業感染防止
- 職員のワクチンプログラム:健康支援室と協同し対応している。
- 結核接触者調査・対応:健康支援室と協同し対応している。
- 針刺し・切創及び皮膚・粘膜曝露事例対応:健康支援室、医療安全管理支援室と協同し対応している。
8.院内感染への対応・コンサルテーション
業績
こちらからご覧いただけます→臨床研究発表実績
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