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病院長ご挨拶


茨城県立中央病院
茨城県地域がんセンター

病院長 島居 徹(しまずい とおる)


 茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンターの病院長として2年目の新年度にはいりました。昨年2020年度は未曾有の新型コロナウイルス感染症の感染拡大があり、多くの感染症診療、感染対策におわれ通常診療も大きな制限を受けました。2021年4月現在、第3波が収束しておらず、本感染症との戦いは2021年度も続くものと思われます。

 

 当院は県立唯一の総合病院であり、理念として「患者さんに優しい、質の高い、県民に信頼される医療を提供する」ことを掲げ、県民の生命と健康を守る高度医療を提供すべく努力してまいりました。同時に当院の重要な機能として、若手医師、コメディカルなどの教育とキャリア支援を通して茨城県の医師不足解消に貢献することが求められています。

 現在、当院の診療は、新型コロナウイルス感染症診療、がん診療、救急医療、地域医療への支援、周産期医療、その他の政策医療などの提供があります。

 

  1. 新型コロナウイルス感染症は、前述のとおり発生から2年目を迎えますが、収束の目処はなく今年度も感染症の患者さんへの診療とともに感染防止の対策が続くと思われます。変異株の拡大やワクチン接種の普及や効果によっても状況はかわるかもしれませんが、引き続き院内への感染持ち込みの防止のため、入院前や入院中必要時のPCR検査、面会の禁止などご不便をおかけしますが、職員も検温、体調管理、PCR検査などを徹底しておりますので、ご理解をお願い致します。県内や一都三県に感染が拡大し、病床が逼迫してくると以下の通常診療がいろいろ制限される可能性があることもご理解ください。
  2. がん診療では、当院は2008年に国から都道府県がん診療連携拠点病院の認定を受け、以後、茨城県がん診療の基幹病院として活動しています。全国がんセンター協議会加盟施設(全国32のがんセンター)でもあり、外科治療、抗癌剤化学療法、放射線治療、緩和医療などのすべての分野において患者さん中心のがん高度専門医療を提供しています。同時に、がんゲノム医療連携拠点病院として、がんゲノム医療の提供が可能な県内3施設のひとつとして他医療機関とも連携しています。
  3. 救急医療にも職員の一致協力のもとに取り組んでいます。2019年度に救急センターで治療した患者数、救急搬送数は各々12,639名、4,378名で二次救急医療施設としては非常に高い応需数でしたが、2020年は最終集計前ですが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、前年の7割程度の受診数に減少しています。昨今の働き方改革により、これまでの医師の過重労働が是正されてきたという側面もあると考えられます。今後、県内の救急体制の整備や地域医療連携のもと、同じ医療圏内でバランスのとれた救急医療を担っていくことが求められます。
  4. 2015年に再開した産科診療は、年々増加し2019年度に200件を越えました。昨年度はコロナ感染症によると考えられる分娩数の減少から初めて1割程度減少しました。当院の特徴として、合併症のある方や異常妊娠(異所性妊娠・子宮外妊娠)、流産、絨毛性疾患数は県内トップクラスです。今後も産科と新生児の専門医を中心として、信頼される周産期医療を進めてまいります。
  5. 地域医療連携では、医科だけでなく歯科との連携も進めてまいりました。へき地医療拠点病院として県北へき地などにも医師を派遣しておりますが、2019年度以降は看護師も派遣しており、総合的な医療支援を行っています。その他、地域災害拠点病院、原子力災害拠点病院、難病医療拠点病院、エイズ治療拠点病院などの拠点病院として、また精神科患者身体合併症事業受入病院、助産施設、母体保護法に基づく医療機関、茨城県DMAT指定医療機関としての役割も果たしています。なお当院は第二種感染症指定医療機関(結核)ですが、新型コロナウイルス感染症対応のため結核の受入は休止しています。

 以上、ほぼ全ての診療科において県民の期待に沿える医療、死角のない医療を推進しております。

 さて、茨城県は医学生を輩出する医科大学が一校のみという数少ない県で、当院は医学教育へも積極的に取り組み、教育意識の改革にも努めてまいりました。2011年の筑波大学寄付講座設置(茨城県地域臨床教育センター)は大きな転換期であり、以後、院内臨床研修システムの改革、指導医の確保と多数の初期研修医の獲得につながり、現在、県内有数の臨床研修病院に位置づけられるようになりました。将来の医療人材である医学生実習も年間100週以上受け入れてきました(2020年は時期により休止)。大学附属病院以外ではトップクラスの卒前医学教育を実施しています。これら医学教育には患者さんとご家族のご協力が不可欠ですので、ぜひご理解を賜りますようお願い致します。

 さてこれまで日本の医療は医師の個人的努力に成り立っている状況が少なからずありましたが、当院では、医療の質と職員環境・病院経営の健全化の両立も目指しており、職員の過重労働回避に先進的に取り組んでおります。病院職員(医師、看護師、薬剤師、技師、事務など)の時間外労働を減らし、職員の心身の健康と安全安心な医療を提供し、結果的に経費節減と病院経営改善をもたらすと考えています。

 最後に、当院は本館が1988年(築32年)に、がんセンター棟が1995年(築25年)に建設されており、近年、狭隘化と機能の老朽に直面しております。特に病棟、外来棟、手術室の狭隘は前述した高度専門的病院機能を維持、向上させるには障壁となる喫緊の課題です。当院の役割を整理し、地域医療連携と協調しながらこのことに計画的に対応し、さらに高いレベルの医療の提供を目指してまいる所存ですので、今後とも皆様のご理解ご協力をお願い申し上げます。

2021年4月1日

 

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