診療科
病院長直轄部門
診療センター・部
診療支援部門
研究・研修支援部門
診療チーム
部長
第二診療部長
京田 有介
(きょうでん ゆうすけ)
都道府県がん診療連携拠点病院の認定を受けた県内唯一の施設として、腫瘍関連全診療科を上げて悪性腫瘍を持った患者さんの治療に取り組んでいます。
発見時に進行しており手術が困難とされた患者さん、さらに救急患者さんも躊躇なさらずにご来院・ご紹介いただければ幸いです。
部長、第二診療部長
京田 有介(きょうでん ゆうすけ)
消化器外科(肝胆膵)
部長(上部消化管鏡視下手術担当)
川崎 普司(かわさき ひろし)
消化器外科(上部消化管)
部長(下部消化管鏡視下手術担当)
日吉 雅也 (ひよし まさや)
消化器外科(下部消化管)
部長(肝胆膵鏡視下手術担当)
若杉 正樹 (わかすぎ まさき)
消化器外科
医長
星川 真有美(ほしかわ まゆみ)
消化器外科
医長
奥野 貴之(おくの たかゆき)
消化器外科
医員
福田 開人(ふくだ かいと)
消化器外科
日本外科学会 外科専門医
(非常勤医師)
名誉院長
永井 秀雄(ながい ひでお)
外科学、消化器外科学、内視鏡外科学
(非常勤医師)
名誉がんセンター長
吉見 富洋(よしみ ふよう)
消化器外科
(非常勤医師)
東京大学医学部附属病院 胃食道外科助教
奥村 康弘(おくむら やすひろ)
消化器外科(上部消化管鏡視下手術担当)
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
胃潰瘍や十二指腸潰瘍で手術を必要とすることは少なくなりました。それでも,胃や十二指腸に穴が開いた場合や出血が止まらない場合には,孔を閉じる手術や胃切除術を行います。
大腸がんは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。大腸がんにかかる頻度(罹患率)は、食文化の西洋化などにより増加し、現在、全がん種の中で、男性で3位、女性で2位、全体では1位となりました。さらに近年は若年者の大腸がんが増加しています。
がん罹患数の順位(2018年)
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
大腸がんに対して積極的に腹腔鏡手術を行います
大腸がんに対しては、腹腔鏡手術が広く適応されるようになってきており、創(きず)が小さいため手術翌日から離床し、手術後一週間程度で退院することができます。当科は昨年、茨城県内で屈指の172例の大腸がん切除を行い、そのうち60%以上が腹腔鏡手術でした。今後は、手術の安全性と根治性を保ちながら、なるべく多くの患者さんが腹腔鏡手術の恩恵を得られるように、日々精進努力し、さらに進歩していきたいと考えています。また比較的数の少ない小腸腫瘍や腹腔内腫瘍に対しても腹腔鏡手術を行っています。
【直腸癌・肝転移同時切除の手術創】
直腸がんに対して、ロボット支援手術を導入し、最新の技術でより精密な手術を受けていただくことができます
ロボット支援手術とは、執刀医がロボットをコントロールしながら行う低侵襲手術です。従来の腹腔鏡手術と同様に、体に小さな穴を開けて行う手術です。現在この手術は「ダビンチ」という器械を使用して行われています。ダビンチの鉗子は、手首以上の可動域と、柔軟でブレのない確かさを持ち、指先にも勝る細かな動きを可能にしています。直腸は、大腸の中でも肛門と接する部分にあたり、長さ15cmほどの臓器です。骨盤に囲まれた狭い場所にあり、周囲には膀胱、前立腺、子宮などの重要な臓器と、排尿や性機能をつかさどる自律神経が集まっているため、大腸がんの中でも特に難しい手術となりますが、ダビンチで行うことで、高い安全性が期待できます。
【ロボット支援手術】
インテュイティブサージカル合同会社 ダビンチパンフレットより
直腸がんに対して、再発の抑制や肛門温存のための化学放射線療法を行っています
大腸がんのうち最も肛門に近い直腸がんの外科治療では、骨盤の中でのがんの再発や、肛門を残すことができるか(人工肛門となるかどうか)が問題となります。日本では従来、手術のみによって直腸がんを治療してきましたが、欧米諸国では局所再発制御を目的とした術前放射線治療が一般的に行われています。当科では、放射線治療科と連携して、肛門に近い進行した直腸がんに対する術前化学放射線療法(chemoradiotherapy:CRT)を行っています。手術前に腫瘍そのものやその広がりを小さくすることで、手術後の再発が少なくなり、また肛門温存が可能となる患者さんもいます。
【術前化学放射線療法(CRT)】
閉塞性大腸がんに対して大腸ステントなどの治療を行っています
がんで管が狭くなることで腹痛や腹部膨満感などの症状のでた大腸がん(いわゆる閉塞性大腸がん)は、そのままの状態でがんを切り取って縫い合わせるとうまくつかない(縫合不全 ほうごうふぜん)ことがあります。そのような場合、従来は腸のつなぎめ(吻合部 ふんごうぶ)に便が通らないように、人工肛門を作る手術が一般的でした。当院では、すぐに手術をするのではなく、がんで狭くなったところに内視鏡を用いてチューブや金属ステントを挿入し、つまりを解消する減圧処置を行っています。これによって、縫合不全が少ない安全な腹腔鏡手術が可能となり、人工肛門が不要となる場合も多く経験します。
多臓器転移のある大腸がんに対して適切な治療を行っています
大腸がんは、肝臓や肺などに転移があっても手術でがんを取り切れる場合には、切除により治ったり寿命が延びたりすることがわかっているので、腹腔鏡を含めた手術を検討します。しかし転移がない患者さんに比べて、たとえ完全に取りきることができた場合でも転移のある場合はがんが再発しやすい事が知られています。そこで化学療法や放射線治療を組み合わせて再発を抑えることで、患者さんが外科治療の恩恵(メリット)を最大に受けられるような治療を行います。当院では外科、内科、放射線科、病理科が集まり毎週金曜日に全体カンファレンスを行うとともに、随時各々の科で連携し情報を共有することで、患者さんにとって最も再発が少なく、体の負担の少ない治療を検討しています。高齢の方や、合併症をお持ちの方などをはじめとして、それぞれの患者さんの人生観や社会的背景を十分に把握し、看護師をはじめとするコメディカルスタッフや地域のかかりつけの医師、在宅診療医などとも連携をとりながら、患者さんごとに適切な治療を行うことを心がけています。
脱腸、痔核などの良性疾患に対する手術を行っています
ヘルニア(脱腸 だっちょう)や痔核(じかく)は良性の疾患であり、様子をみることも可能ですし、手術をする場合でも基本的には急ぐ必要はありません。しかし痛みや腫れ、出血などの症状がある場合には手術をして治した方がよいことがあります。当院ではこれらの良性疾患に対する治療、手術を多数行っております。特に、鼠径ヘルニアに対しては、ご希望の患者さんに腹腔鏡下修復術も行っております。お悩みの方は、いつでも御相談下さい。
炎症性腸疾患や大腸ポリポーシスなどの難治性疾患に対する治療を行っています
潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)やクローン病などの炎症性腸疾患や、家族性大腸腺腫症(だいちょうせんしゅしょう)などの大腸ポリポーシスは難治性疾患であり、長期的な外来治療が必要となります。また急性増悪したり、発がんしたりすることもあり、そのような場合には手術が必要です。当院では内科、外科、さらに地域のかかりつけ医が連携し、これらの疾患の患者さんに対して適切な治療を行っていきます。
遺伝性の大腸がんに対する専門外来受診や検査を行うことができます
日本人の2人に1人はがんにかかる時代です。2018年に新たに診断されたがんは98万例(男性56万例、女性42万例)とされています。ご家族にもがんの患者さんがいる方は多いと思います。大腸においても「遺伝性腫瘍」があることがわかっています。このうち、1つの遺伝子の病的な変異が親から子へ伝わることにより、がんになりやすくなり、その素因をもとに発症する疾患を遺伝性腫瘍症候群といいます。この疾患群に対しては、遺伝子検査を行い対策を講じることが可能です。都道府県がん診療連携拠点病院である当院では該当する可能性のある患者様に、遺伝外来の受診の希望を承っておりますので、いつでもご相談ください。
虫垂炎、腸閉塞や腸管穿孔などに対する緊急手術を行っています
当院は茨城県のがんセンターであると同時に、唯一の県立総合病院として、茨城県の救急医療においても中核的な役割を果たしています。腹部消化器外科の分野では急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん→いわゆる「もうちょう」)、腸閉塞(ちょうへいそく)、急性胆嚢炎(きゅうせいたんのうえん)や腸管穿孔(ちょうかんせんこう→腸に穴が開くこと)などといった緊急疾患(急性腹症 きゅうせいふくしょう)に対して、緊急手術を中心とした治療を行っています。疾患によっては腹腔鏡手術による治療を行うこともできます。一方で腸管穿孔など重症度の高い病態では、緊急手術後に集中治療室での管理が必要となることがありますが、そのような場合でも集中治療室専属医とともに高度な治療を提供します。
【対象としている主な疾患】 悪性腫瘍
良性疾患
他、ご不明な点がございましたら、ご相談ください。 |
■基礎知識■
肝臓と周辺の臓器の構造
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
■症状■
■治療法■
肝臓がんの治療は肝切除、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TAE)が中心です。また肝臓の状態やがんの進行具合によっては分子標的薬による薬物療法や、肝移植、放射線治療などを選択します。それぞれの治療の長所や短所を説明しながら、個々の患者様に適切な治療を提案していきます。
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
■手術■
腫瘍の場所や個数、大きさ、肝臓の機能によって切除する範囲を決定します。術式の決定には手術前にICG検査(青い色素を注射して肝機能を調べる検査)の結果を参考にしています。例えば、区域切除や左肝切除では肝臓の約1/3程度、亜区域切除では肝臓の約1/6の切除になります。
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
■基礎知識■
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
■症状と解決法■
胆道がんの症状には黄疸(皮膚や白目が黄色くなること)、右わき腹の痛み、体重減少などがあります。黄疸は胆管内部ががんによって狭くなることで、ビリルビンを含む胆汁が血液の中に流れ込むことによって起こります。黄疸に対して、とどこおった胆汁を通すための処置が必要で、このことを胆道をドレナージするといいます。
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
■治療法■
胆道がんの治療法には、手術、薬物療法、放射線治療があります。胆道がんでは、手術が最も有効であると考えられています。そのため、まず手術できるかどうかを検討し、できない場合には薬物療法を中心とした治療を行います。
■手術法■
手術はがんによって狭くなった胆管を取り除くことが目的に行いますが、できる場所によって術式は変わります。胆管といっしょに膵臓や十二指腸を切除(膵頭十二指腸切除)したり、肝臓切除(胆管切除)を行ったりします。
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
■基礎知識■
■症状■
■治療法■
膵臓がんの治療には手術、薬物療法、放射線治療があります。がんが切除できる場合には、手術のみ、もしくは手術と薬物療法、放射線治療を組み合わせた治療(集学的治療)を行います。切除できない場合には、主に薬物療法や放射線治療を組み合わせた治療を行います。
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
■手術■
腫瘍の広がりや転移によって切除可能膵癌、切除可能境界型膵癌、切除不能膵癌に分類されます。腫瘍の場所によって切除する範囲は変わります。切除可能膵癌に対しては、手術の前に8週間ぐらい抗癌剤治療(術前化学療法)をした後に切除を行います。切除境界型膵癌に対しては、抗がん剤治療(術前化学療法)を行い、反応をみながら切除の時期を決定します。局所進行切除不能膵癌に対しては、抗がん剤治療を行い、切除の可能性を追求します。
出典 国立がん研究センターがん情報サービス
胆石とは胆のう、胆管、肝臓にできる結石のことです。胆石症の一般的な症状は上腹部通、胸やけなどです。細菌感染を伴うと、急性胆嚢炎や胆管炎などを発症することがあります。
胆石症、胆嚢腺筋症、急性胆嚢炎に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。通常は術後2~3日で退院できます。
腹腔鏡下肝切除を積極的に行っています。適応のある症例に対しては、手術の質を低下させることなく、傷が小さいことで早期回復が可能です。安全性を担保しながら肝硬変例や多発例にも適応を広げています。
腹腔鏡下肝切除の術中写真
低悪性度の腫瘤に対しては積極的に腹腔鏡下膵切除を行っています。今後は安全性や根治性を損なわない範囲で、適応を広げていく予定です。また、要件を満たせばロボット手術にも挑戦したいと考えています。
腹腔鏡下膵切除の術中写真
2023年2月~ロボット支援膵切除術を開始しました
当院で行われたロボット支援膵切除術の様子
腹部に鉗子類を挿入する箇所
可能な限り患者様の負担の少ない手術を提案いたします。根治性や安全性に気を配りながら、徐々に適応を広げていく予定です。
当院では、鼠経部ヘルニア(いわゆる脱腸)に対する手術を多数行っています。
鼠径部を5cm程度切って行う従来の手術に加えて、より小さい傷でできる腹腔鏡手術も積極的に行っています。 他にご病気を抱えているご高齢の方でも、しっかりと術前評価を行い、安全な手術法をおすすめしています。鼠経ヘルニアでお悩みの方は、いつでもご相談ください。
■症状■
下腹部の足の付け根辺りが膨らむ病気で、不快感や痛みを伴ったり、だんだん大きくなったりします。おなかに力を入れた時には膨らみ、手で押したり寝る姿勢になったりすると小さくなります。 危険な症状は、嵌頓(かんとん)という状態で、膨らみが硬くなって元に戻らなくなり、強い痛みやお腹全体の症状を伴います。緊急手術が必要になったり、膨らみの中の内臓が腐ってしまったりすることがあります。
■治療■
治療薬はなく、治すには手術が必要です。 脱出しているヘルニアの中身(小腸や脂肪など)をおなかの中に収めて、ヘルニアの出口を閉じる手術を行います。 現在大半の手術では、ヘルニアになったお腹の壁に補強のシートを埋め込む『メッシュ法』で行われています。
■手術■
①鼠径部切開法
下腹部を5cm程切って、お腹の外側からヘルニアを修復する手術です。
②腹腔鏡手術(*1)TAPP法、*2)TEP法)
*1)TAPP: transabdominal preperitoneal approach *2)TEP: totally extraperitoneal approach
臍を含めた1~3ヵ所程度の小さい傷で、お腹の内側からヘルニアを修復する手術です。
臍の傷は小さく、目立ちにくい特徴があります
TAPP法では、お腹の内側からヘルニアを確認し、メッシュを用いて修復します
残肝容積の小さい症例に対して、門脈右枝塞栓術と腹腔鏡下肝離断を併用した手術を先行し、二期的に右肝切除、肝部分切除術を行い、術後肝不全なく経過しました。
腹腔鏡下での処置を加えたことで、肝再生が促進され、短期間での残肝容積の増大が認められました。